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ヴァルキュリア!とは

この作品は大好きな異世界迷い込み小説を書きたくなったので
ちょっと捻ってみようと考えた結果、よくある作品となったお話です。
テーマは
ソレナンテ・エ・ロゲ[Sorenant et Roage]
     (1599~1664 フランス)

第1話
第2話
第3話
第4話



追記 テーマはあれですが18禁描写はありません。せいぜい15禁程度です。
    コンシューマーに移植されたエロゲみたいなもんだと思って諦めてください。
   
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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

ヴァルキュリア! 第1話

平日の深夜2時。 
普通の社会人や学生の皆さんは明日にそなえてとっくに睡眠に入ってる。
一、社会人である俺、柳園(やなぎ えん)も本来なら寝なければいけないのだろう。
しかしそんな思いとは裏腹に俺はモニターの前から動く事が出来ないのだ。



 うおっ、まさかギガントドラゴンをソロで倒せるとは@@

 まじかよっ!俺らのギルド員総出でも倒せなかったのに><

 火力やばすぎですよ~尊敬します^^

 流石はギエンさんだ・・・




「ふふっ、運が良かっただけですよ・・・っと」


まあ、ネトゲをやってるからなんですけどね。
ちなみにギエンってのは俺のキャラの名前だ。
三国志と俺の名前の両方からもじったナイスな名前だと自負している。

俺がこのMMO「ヴァルキュリア」をやり始めてもう2年が経った。
天界の戦女神であるヴァルキュリアに仕える英雄となる為にクエストをこなしたり
敵と戦ったり、あるいはのんびり釣りをしたりするというまあよくあるMMOではある。
俺は前情報を聞いた時から面白そうだと思いこのMMOでトップになると誓った。
誰よりも強くを目指し、クローズドベータテストの時から尋常じゃない勢いでやり込んでいた。
あまりにはまり過ぎて会社勤めから自宅で自由に請け負う仕事に切り替えたぐらいだ。
ほとんどの時間をヴァルキュリアに捧げているから
仕事はほんの少ししか請けず生活はいつもギリギリだけどね。
他の並み居る廃人達をも寄せ付けない程のやり込みを続けていた俺は
いつしか「ヴァルキュリア」内で知らぬ人はいないと言われるまでになっていた。
今では一般的に廃人と呼ばれるような人が百人集まっても俺は負けない。




 ギエンさんの「滅陣」食らったことある?あれだけでうちのギルド員全滅したしw

 あれ、やばいよねwそれにうちらが全力で攻撃してちょこっとHP減っても
 「神の力」あるからすぐ回復するしねw
 
 そうそう、ってか他にも「メギド」とか「ホーリー」とかwww

 マジで「現人神」スキルは反則すぎるww




何故百対一でも勝てるかと言うと俺のジョブが唯一無二の「現人神」だからだ。

現人神(あらひとかみ)

「この世に人間の姿で現れた神」という意味の名をしたこのジョブは
ヴァルキュリア内で最も早くレベル100に到達した、たった1人だけに与えられる最上級職だ。
この職業についたら飛行可能、アイテム所持制限無し、全ステータス超上昇 等、まあ
すさまじい事になるのだ。だが中でも一番凶悪なのが「現人神」専用スキルが使えることだ。

常に10秒間ごとにHPが80%回復する「神の力」

超広範囲の攻撃スキル「滅陣」

火属性最強魔法「メギド」 聖属性最強魔法「ホーリー」

他にもまだまだあるがそのどれもが他の上級ジョブの最強技をもしのぐ。
ぽちっとスキルボタンを1回押すと周囲のプレイヤーキャラを一瞬で死に至らしめる。
はっきり言って負けるわけがないのだ。
またこのジョブは「天界の戦女神であるヴァルキュリアに仕える英雄となる為」
というゲームの前提条件を破って自らも神となっている為、専用のクエストがあるのだ。
もうこれ以上ないってぐらい優遇されているのがわかってもらえると思う。
普通、たった一人のプレイヤーをこれほど優遇すると間違いなくすさまじい反発が起きる。
そりゃそうだ。たった一人だけ明らかに自分達とは違う性能のキャラを使えて
どれだけ努力しようともその人の足元にも及ばないなんて理不尽にも程があるだろう。
だが俺は調子に乗らず、困ってる皆を助けまくる。
これだけだ。これを意識して続けただけで俺は皆に受け入れられたのだ。
最も嫉妬するだろうと思われる古参の廃人達が
クローズドベータからのフレンドばかりだったのも大きかった。
大規模ギルドのマスターをしている人も多く、皆の不満を押さえ込んでくれたのだ。
ちなみに俺はギルドには入っていない。というか現人神はギルドに入れないのだ。
理由はギルドに入るとギルド間のバランスが崩壊してしまうからだ。
そのかわりにフレンドは山のようにいたけどね。


「これでカイウィル地方も解放されましたね^^・・・っと」


現在ヴァルキュリア内のプレイヤーが住むイオス大陸はモンスター達に占領されている。
プレイヤー達が協力して地方をモンスター達から開放していくと
どんどん行動範囲が広がっていくというシステムだ。
だが、もちろん地方を解放するのは並大抵の事ではない。
各地方に配備されているボスモンスターはどれも尋常じゃない強さを誇っているからだ。
廃人ギルドの精鋭数十人で挑んでも勝率は二割を切ってしまうぐらいだ。
そこで俺の出番って訳。
今回の地方の開放でイオス大陸の八割が解放されたがそのほとんどは俺が解放していた。




「・・・・・・あれ?」



突然、画面が暗転した。
2秒程停止した後、画面が切り替わる。


「なんだ・・・このムービー?」


戦女神ヴァルキリーが天からゆっくりと降り立ってくるムービーが突如流れ出したのだ。
俺は慌てて攻略サイトを確認する。
こんなムービーがあるなんて、ずっと続けている自分も知らなかったからだ。
攻略サイトにも情報は載っていなかった。だがここで俺は気づいた。


「これは・・・現人神専用のクエスト・・・か?」


可能性があるとすればこれだった。
これなら攻略サイトに情報が無くても納得である。
何せ確認できるのは唯一の現人神である自分だけだからだ。


―――――ロキを、倒して下さい

―――――ロキがこの大陸を混乱に陥れていた張本人なのです


「おいおい、ロキがボスってあのゲームかよ」

手を合わせて祈るように語り掛けてきたヴァルキリーの話の内容に
俺は思わず苦笑してしまった。ラスボスがロキってのは某有名RPGとまるきり一緒だからだ。

(ヴァルキリーのデザインも近いしこのMMO、パクッたのかな?)

俺の心に盗作疑惑が起きても仕方ないだろう。
そんなことを考えている内に勝手にクエストがスタートしていた。
ふんふん・・・要するに天界の奥のダンジョンに引っ込んでるロキを倒せってことか。
どのくらい強いのかね?ここ最近戦闘で苦戦した記憶が無いからピンとこないぜ。
まあとりあえずがっかりさせてくれるなよっと。









「だああ、回復間に合うか!?くそっ、神の力だけじゃ追いつかん!」


俺の手は自分で言うのもなんだが凄まじい動きでキーボードを叩いていた。
このアクションゲームの様な戦闘時の激しさもこのゲームの魅力なのだ。


「ええい、魔法が効かん!滅陣連発で削るしかねえ!」


結論から言えばロキはめちゃくちゃ強い。
魔法は全く効かず防御力も恐ろしく高い。
攻撃力は一撃で現人神の体力の半分以上を奪った。
普通のプレイヤーじゃ何千人集まろうと勝負にならないような強さだった。
本気で戦闘することが無くなって長い俺はパニックになりながらもなんとか戦い続けていた。
考えてみればロキも神なんだから楽勝なわけなかったんだよね。


「おっしゃ、回避!この隙にこれを・・・よっしゃ!」


自分でも褒めたくなる様な超絶技巧な指裁きでロキの攻撃を回避した俺は
すかさず最高の威力を誇る攻撃スキル「滅界」を使用した。
「陣」を滅するのが滅陣、「世界」を滅するのが滅界。
威力の違いは名前だけで十分わかるってもんだ。
ただし滅陣と違って若干の溜めが必要ななので
今みたいに攻撃を回避する等して溜めれる時間を稼がなければいけないのである。


辺り一帯の次元が消滅していきロキもそのまま消滅していきそうだ。
これか「滅界」
流石のロキも次元ごと滅する攻撃には耐えられないようだ。



―――――ぐあぁあ!!この俺が敗れると言うのか!?



己を消滅していく体を信じられないという表情で見ているロキが叫ぶ。
こんなに面白い戦闘が出来たのは久しぶりだった。
少なくとも現人神になってからは初めてだ。



―――――俺が、俺が消えていく・・・だが、せめてお前だけでも!!


ロキが突然、PCモニターに向けて既に半分程消滅している手を向けた。







―――――お前も道連れだ!!現人神!!







脳に直接響くような声と共に、俺の視界は光に包まれ
同時に体にすさまじい衝撃を感じ俺はそのまま意識を手放してしまった。








「・・・・・・んんっ・・・あれ、俺は・・・」


陽射しを眩しく感じた俺はたまらず目を覚ました。
・・・全く状況が掴めない。
確か俺は「ヴァルキュリア」をしていて・・・ロキを倒して・・・


「なんで俺はこんな所にいるんだ」


俺は何故かアフリカのサバンナを彷彿とさせるような荒野のど真ん中にいたのだ。












目が覚めたらそこは異世界でしたってか。
俺はこんなとんでも展開にも心はのほほんとしていた。

異世界 

今いる場所が自分のいた世界とは違うということを俺はすんなり理解する事ができていた。
まず服装。直前まで俺が着ていた服とは全く違う物になっていた。
というかこれは服とは呼べないだろう。
布切れを腰巻いてるだけで後は何も着ていなかったからだ。
どんな変態だよと思ったが俺の頭の中に一つ心当たりがあったのだ。
それは俺のキャラ、現人神ギエンの装備していた服「神聖服」だ。
その神秘的な名前とは裏腹の腰布一枚の出で立ちで
フレンドからの爆笑を勝ち取った思い出深い衣装なのだ。
ちなみにこれでも防御能力はかなり高い。
動き重視の軽装備なのに重装備と同じ防御力を誇っている。ほぼ全裸なのにね。
思い出し笑いをしながら俺はぼんやりと考えていた。

この時点で俺は疑っていた。

髪の毛。俺の本来の髪の毛は黒いスポーツ刈りだ。
それがなんだこれは。真っ白な長髪ってまるきり正反対じゃないか。
これも心当たりはある。現人神の特徴は真っ白な長髪だ。

そう、俺はヴァルキュリアのギエンの格好をしていたのだった。
ちなみに顔は特に変わっていない。
ゲームのギエンはもっとイケメンな設定にしてたのに。
そのせいかコスプレをしているみたいで妙に恥ずかしかった。
いや、腰布一枚で荒野にいる時点で恥ずかしいわな。周りに誰もいないけど。

俺の頭にはもしや・・・という言葉が浮かんだ。

そして俺はこのもしやがやっぱりに変わる決定的な物と出会った。



「な・・・あれは・・・モニョじゃないか!」


荒野をゆっくりと歩いているとある生き物に俺は目を奪われた。
モニョとはヴァルキュリアに登場するレベル1のモンスター。
つまり一番弱く、一番最初にプレイヤーの餌食となるモンスターなのだ。
しかしモニョは子狐のようなひ弱さと可愛らしさをしており
ゲームのマスコットとして圧倒的な人気を誇っているのだ。
その人気振りはモニョを狩ろうとする初心者をPKする「モニョ狩り狩り」
なるPKプレイヤーを生み出したぐらいである。
ちなみにPKとはプレイヤーキラーといってそのまんまの意味だ。
これをすると指名手配されて他のプレイヤーキャラに狙われるリスクがあるんだが
それを気にせずやるぐらいモニョが好きってことなんだろう。
他にもモニョ狩り狩りを狩るモニョ狩り狩り狩りやそれを狩るモニョ狩り狩り狩り狩り
なるプレイヤーもいたが俺が混乱してきたのでこの話は置いておこうと思う。


「これは・・・間違いないよ、な」


思わず空を見上げる。太陽が眩しいぜっておいおいどうみても太陽が二個あるよ。
今までの前振りはなんだったんだってなるよね。どうりで眩しかった訳だ。
まあそれはさておき、こんな感じで俺は今いる場所が異世界
いや、「ヴァルキュリア」の世界である事を受け入れざるえなかったのだ。














俺がこのイオス大陸について二日が経った。
未だに俺は荒野から動いていなかったりする。

「このナイアガラブタって結構美味いな・・・」


俺のいる場所はイオス大陸の南東に位置するサハリ荒野であるらしい。
現在食ってるこのジューシーなお肉は「ナイアガラブタ」といい
サハリ荒野にしか生息していない為、現在地を知る事が出来たのだ。。
ちなみにナイアガラブタのレベルは8。全体的にレベル1~10のモンスター
しか生息していないここは初心者プレイヤーの狩場としてヴァルキュリアでは有名だった。
ゲームの知識が実際の生活で役に立つ事になるなんて想像した事もなかったよ。
俺は肉を食いながら空いているもう片方の手をじっと見つめていた。


「んぐっ、しかしこの体は反則すぎるだろ・・・」



俺は本当に現人神であるギエンそのものになっていたのだ。
空も飛べるし物もいくらでも持てる。身体能力も以前とは比べ物にならない。
俺は食べ残しのナイアガラブタに手をかざし意識を集中させた。


「・・・・・・ファイア!」


その瞬間、突如現れた業火がナイアガラブタを一瞬にした焼き尽くしてしまった。
灰すら残さない完全な焼却である。


「まさか俺がこんな超能力みたいな力を使えるなんてな」


ゲームのスキルもそのまま使用できてしまったのだ。
つまり現人神のスキルも使用できる。
最早、俺は存在がチートと言われても仕方がない存在になってしまったのだ。
と、いっても実はまだ現人神のスキルは試していない。
あんな凶悪な破壊力を誇るスキルを気軽に使用するのが怖かったのだ。
今使ったファイアは現人神になる前に就いていた魔法戦士ジョブの基本魔法である。
最も威力は桁違い。普通の人が使うファイアではせいぜいチャッカマンぐらいの火しかつかない。
本来なら実用性皆無のゴミ魔法なのだが・・・俺が使うとこの通り。
現人神の特性、全能力超上昇のおかげだろう、魔力がとんでもない。
この二日、俺は自分の体を確認する為にこの荒野から動かなかったが
確認はもう十分だろう。
敵も弱いしこれ以上ここにいても得る物は無い。
そろそろ近くの町にでも行ってみようか・・・ってえ?


「いやあああぁ!!」


遠くから、距離にしておよそ二キロぐらい先から悲鳴が聞こえてきた。
この声は・・・女の子!
俺は迷わず走り出していた。空を飛んだりはしない。
普通の人間は空を飛んだりしないし、いらぬ詮索はされたくなかったからだ。
チーターをも超えるスピードで走り一瞬にして現場が近づいてきた。
モンスターの群れに囲まれている。女の子・・・二人!を
確認した瞬間、俺は空高く跳ね上がった。











「くそっ、このままでは・・・」



彼女は手に持ったショートソードを杖のようにして体を支えていないと
立ち続けることが出来ないぐらいに消耗していた。
肩まである深紅の髪も戦闘の激しさを物語るかのようにボロボロになっている。
そしてまた一体、モンスターが彼女に襲い掛かる。

「・・・くっ!この!!パワースラッシュ!」

ふらつく体を言い聞かせて間一髪で相手の攻撃を交わした彼女は
お返しとばかりに技を叩きこみモンスターを吹き飛ばした。

「倒しても倒しても・・・・・・きりが無い!」


そう、彼女の周りは既に同種のモンスター数十体で囲まれていた。
そしてじわじわと、少しずつ彼女を追い詰めていく。


「アイカ・・・・・・あなただけでも・・・にげ、て」


アイカと呼ばれた彼女のすぐ足元には少女が倒れこんでいた。
少女は最早立ち上がる事も出来ず、自分がアイカの足を引っ張っているとわかっていた。


「馬鹿言わないでメリス!あなたをおいて逃げられるわけないでしょ!」


彼女達は駆け出しの冒険者だった。
ある人物に憧れ、その人の道を追うかのように二人して冒険者になった。
昔から何をするのも一緒の幼馴染だった二人がパーティを組むのは当然の流れだった。
そしてギルドで簡単なクエストもこなし冒険者としての自覚も少しずつ出来てきた。
今回はギルドのクエストでナイアガラブタの肉十個を集める為にサハリ荒野に来ていたのだ。
彼女達は共にレベル13と本来ならこの辺りの敵なんて問題では無い。
その為今回のクエストは簡単、そう至極簡単な物だと思っていた。


「なんでポイズンリザードマンがこんな所に、それも大量に・・・」


アイカと対峙しているモンスターはポイズンリザードマン。
レベル20と本来ならばこんな所には生息していない筈のモンスターであった。
レベル差が多少あろうともアイカは中々強いらしく辺りに既に数体の亡骸があった。
しかし、どう足掻こうとも圧倒的な数の差には勝てない。
じりじりと押されていき完全に包囲されてしまったのである。


「ごめんね・・・私が動けたらまだなんとかなったかも知れないのに・・・」


メリスの目からは止め処なく涙が出ている。
彼女はポイズンリザードマンの毒を受け身動きが取れなくなってしまったのだ。
呪文の詠唱も出来ない為に解毒魔法を唱えられなくなっていた。


ガキン!


アイカのショートソードが敵の一撃により弾き飛ばされてしまった。
唯一の武器も手から離れてしまい、アイカは堪らず座り込んでしまった。


「あ・・・・・・」


呆然とした彼女の頭にリザードマン種の特性が浮かんでしまった。
男種しか存在しないリザードマンは種を残す為に人間の女を攫い繁殖する。
トカゲの様な顔でニヤリと先割れしている舌を出したポイズンリザードマンを目にし、
アイカは自分がどういう目に合うか判ってしまい恐怖のあまり叫んでしまう。


「いやあああぁ!!」


女性としての本能からの恐怖に逆らう事が出来なかった。
悲鳴を聞きニヤニヤと笑い出したポイズンリザードマンはゆっくりとアイカに近づいていく。
アイカは涙を流しながら後ずさるが気にも留めず、彼女の肌に手を触れようとしたその時、
空から突如大きな音が鳴り響いてきた。
不審に思ったポイズンリザードマンは空を見上げる。
だが原因が何かを認識する前に彼の命は断ち切られていた。



「う~~~~ら~~~~~~っっ!!!!」



隕石の様な勢いで「人間」が降下してきたのだ。
ものすごい衝撃と砂埃が巻き起こる。
周囲が落ち着くとそこにはある男が一人、威風堂々と立っていた。
アイカに手を出そうとしたモンスターはあえなく彼の天誅を食らい即死してしまった。


アイカはいきなり空から降ってきた彼をじっと見た。
艶やかな白の長髪、そして何故か腰に布を巻いただけの格好。
目には常人では考えられない様な不思議な力が篭っているように見えた。

「ま、まさか・・・・」

アイカは信じられないといった表情を彼を見る。
だがその顔には歓喜の表情が確かに入っていた。
メリスは涙を流していた。さっきまでの様な恐怖と悔しさの涙では無い。


「ああ・・・神よ、感謝致します」


彼女達の惨状を見た彼はモンスターの方へと目を向けた。




「女の子に手を出そうとする糞モンスターなんてなぁ、皆殺しにしてやんよ!」













俺はもう完全にぶちぎれていた。
某掲示板風に言うなら俺の怒りが有頂天になっている。
目の前にはボロボロになっている女の子が二人。
どちらも身だしなみを整えればさぞかし映えるだろう。
こんな可愛い子達をひどい目に合わせたモンスターを許せる訳がないのだ。
同胞が俺にあっけなく殺されたのがようやくわかったのかギャワギャワと騒ぎだした。
そして一匹が俺に襲い掛かってきた。目には怒りが浮かんでいる。
だけどさ・・・俺の方が怒ってるんだよな!
俺は手の甲で軽く「撫でてやった」
だが、それだけでリザードマンの頭がはじけ飛ぶ。
驚きで固まっている敵を尻目に俺は手をそのまま上に掲げた。


滅陣


俺がそうつぶやくと周囲一帯のポイズンリザードマンに衝撃が走る。
皆倒れこみ苦しみながら消滅していく自らの体を信じられないように見ていた。


「この技はっ!」


倒れこんでいる少女が叫んだ。
いかにも神官って感じの礼服を身にまとっている少女だ。
ちなみにこのスキルは俺が敵と認識している者にしか効かない為
彼女達には全く影響を与えていない。
そして数秒後、俺の目の前からポイズンリザードマンの姿は完全に消え去っていた。
辺りに静けさが戻っていた。


「ふぃ~やべえなこの威力」


怒りに任せて使ってしまったがこれはあまり使わない方がいいかもな。
凶悪すぎる。
っとそんな事考えてる場合じゃないか。俺は彼女達の方へゆっくりと振り向いた。


「・・・・・・だだ、大丈夫らった?」


噛んだ。おまけにすごいどもっている。
正直に言います。めちゃ緊張してる。
なんせ今まで彼女どころか女友達すらいなかったもん・・・
家族以外の異性とほとんど喋った事が無い俺が
こんな可愛い子達と喋ろうとしたらこうなってしまうのも仕方がないだろう。
自分で言ってて悲しくなってきたぜ、ははっ。


「は、はい!!」


「あ、ありがとうございました!」


俺の方がびっくりするぐらい大きな声で返事をしてくれた。
二人の目がウルウルとしている。よっぽど怖かったのだろう。
俺に挨拶しようと自由の効かない体を無理に起こそうとしている。


「ああ、ちょっと待って。・・・エリアヒール」


俺が手をかざすと彼女達は光の衣に包まれた。
魔法戦士ジョブの基本回復魔法だが俺が使えば完全回復と状態異常回復の
完璧な治療呪文となる。


「す、すごい・・・こんな一瞬で全回復できるなんて・・・」


レザーメイルを装備しているおそらく戦士であろう女の子が驚いた。
確かに一瞬で回復できる魔法ってのはほとんど無いからな。
通常の回復魔法を使っても効果が出るまでに数分はかかる。
魔力が高ければ高いほど即効性が出るので俺だと一瞬ってわけだ。
彼女達がすっと立ち上がった。

「だだ、大丈夫みたいだすね」

また噛む。しかし彼女達は気にしていないようだ。
二人並んで俺に頭を下げてきた。


「本当に助かりました」

「私達、クエストの為にサハリ荒野に来ていたんですが突然ポイズンリザードマンに
 襲われてしまって・・・どうしてこんな所にいたのかしら」

「あ~それか。こいつら繁殖期になるとメスを求めて大陸ほぼ全域に出てくるんだよ」


ゲームの知識のおかげでスムーズに話せたぜ。嬉しい。


「そ、そういえば図書館で見た時に書いてあったような・・・」


戦士っぽい子が落ち込んだように顔を俯かせた。
イオス大陸では常識の事なんだけど知らないってことはやっぱり初心者かな。
まあサハリ荒野にいるんだからおかしくはないけど。


「ま、まあ気にしない事だよ。次から気をつければいいんだし」

「は、はいありがとうございます!あ、あたしはアイカって言います。
 こっちはメリス。ほら、あなたも!」

「は、はい。神官をやってますメリスです!助けて頂きありがとうございました」


そういって頭を下げる。思わず頭を撫でたくなるような小柄な子だ。
だけど・・・ついつい体の方を見てしまう。
メリスの胸はその小さな体とは対照的にこれでもかってぐらい激しく自己主張していた。
アイカの方は・・・まあ、そういうことだ。


「きゃっ」


メリスが恥ずかしそうに胸を隠すってしまったばれてる!
顔を赤くしてもじもじとしてしまう彼女に思わず萌えてしまうのは仕方ないだろう。


「あ~、いやらしいんだ~。でも気持ちわかっちゃうなぁ。
 だってメリスの胸ったらこんなに大きいんだから」


アイカは俺の方をニヤニヤしながら見たかと思うとメリスの背後に回りこみ
いきなり胸を鷲掴みにした。


「あっ!ちょ、ちょっとアイカ止めてよ」

「ふふ、も~う柔らかいだけじゃなくて張りもあるのよこれ。
 見てみてこの弾力。ほら、あたしの手が弾かれちゃう」

「あっ・・んもう、アイカったら!」



ふぉおおおおおお。
いきなり始まったレズちっくな光景に俺は釘付けになってしまう。
なんというけしからん事を。いいぞもっとやってくれ。
俺も思わず前かがみに・・・ってやばい!
そういえば俺、腰布一枚しか装備してないじゃん。
こんな状態でおっきくなったら一発でばれてしまう!!
俺は腰砕けになっている状態でとりあえず誤魔化そうとする。


「俺はそのギエンっていうんだ。よろしく」


名乗った瞬間彼女達が固まってしまった。
あれ、なんか拙かったのかな?もっとフランクな感じで言えば良かったのか?
それともキャラの名前を名乗ったのが拙いのか?やっぱり本名じゃないといけないとか。
なんて考えていたらいきなり彼女達が俺に力一杯抱きついてきた


「ギエン様!!やはりギエン様でしたか!
 貴方様が天から舞い降りた時にもしやとは思いましたが本当にお会いできるなんて!」

「ああ・・・今日という日に巡り会えた事を神に感謝致します・・・」



きゃああああ抱きつかないで!!おっきくなってるのがばれちゃうって、あ。
アイカの腰に俺のが当たってしまった。

「きゃっ・・・やだギエン様ったら。こんなに苦しそうにされてるなんて。
 あたしで良ければいつだってお相手させていただきま」

「ギエン様・・・あんな貧弱な体では貴方様は満足できません。
 さあどうか私の体を存分に堪能してください・・・」


アイカの言葉を遮り、いきなりとんでもない事を言い出すメリス。
いや、アイカのセリフも十分とんでもないが。
アイカのこめかみに青筋が走るのが確認できた。


「何寝ぼけた事いってるのよこのチビ!ギエン様はあたしのような大人の女性が好みなのよ」

「どこが大人ですかこの洗濯板!大体同い年じゃないですか!」

「ギエン様、あんな小さな子供よりあたしのがいいですわよね?」

「ギエン様、あんな貧乳なんかより私の方が断然良いですわ」


俺に体を擦りつけながらもメラメラとにらみ合う二人。
ってかどうなってんのこれ?そもそもなんで俺の事を知ってるんだ!?
なんで俺に抱きついてるんだ。
もう何が何だがさっぱりわからない。
もうこの言葉しか出てこない






「これなんてエロゲ?」






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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

ヴァルキュリア! 第2話

暴走寸前の俺を止めたのはおいしいお肉であり初心者のレベル上げの味方でもある
ナイアガラブタ君だった。何故ナイアガラなのかは疑問であるが今は置いておく。
彼がプギープギーと言いながら俺に向かって突進してくれなかったら
俺は今頃性欲の権化となりアイカとメリスを本能の赴くままに食べちゃっていただろう。
普段ならびびって引いちゃったかもしれないけど今回は特殊な状況だったしね。
ブタ君はそのままアイカ達のクエスト用に捕獲。
クエストに必要な肉が揃ったと言うのでここから一番近い街サウスリーンに戻る事になった。
彼女達が是非お礼がしたいと言う事なので俺もついていくことにした。
抱きつかれて気が動転していたが先程の発言から俺、というかギエンの事を知っている様だし
丁度街に行こうと思っていた俺には渡りに船だった。
・・・こんな可愛い女の子達に誘われて断れる訳ないしね。







「俺が・・・伝説の勇者だって!?」


いかにもファンタジーな世界に出てきそうなレトロな雰囲気の宿屋に着いた俺達は
とりあえず一服しようと部屋をとることにした。
腰に布を巻いてるだけの変態ルックの俺は不審な目で見られたがなんとか誤魔化した。
ちなみにアイカ達の奢りである。
女の子に奢ってもらうのは気が引けたが
俺はこの世界の金を持ってないからしょうがないと自分に言い聞かせた。
案内された部屋はシンプルな作りでそれなりに落ち着ける雰囲気だった。
備え付けのソファーに座り込む。意外とふかふかしてて良い座り心地だ。
俺がまず聞いたのは何故彼女達が俺の事を知っているのかという事。
そして帰ってきた答えがこれである。大声で驚くに決まってるだろ?


「はい!ギエン様は十五年前にモンスターに制圧されていたほとんどの地域を開放し、
 その元凶であった神、ロキを打ち倒したじゃないですか!」

「そしてロキを倒した後に神々と共に天界で暮らすようになって
 人前には姿を見せられなくなられたじゃありませんか!」

「その為、人間でありながら神をも倒す力を持った勇者として今まで語り継がれてきましたが・・・」
 
「こうしてお会い出来るなんて・・・私達は幸せです・・・」


感極まったのか二人とも泣き出してしまった。
俺は慌てることしかできず気の効いたセリフなど出てこない。
しかし俺が十五年前にロキを倒したって・・・
この世界に来る直前から十五年も時が経っているということか・・・
しかも俺が伝説の勇者扱いになってるとは。勇者って言うか現人神なんだけど。
まあこっちの方は納得できるか。
それぐらいこの「ギエン」が人の限界を圧倒的に超えてるってのは身を持ってわかったし。


「えっと、とりあえず泣き止んで欲しいな。
 その、俺なんかに会ったぐらいで泣かれても困るって言うか・・・」


「ひっく・・・す、すいません。ギエン様を困らせる様な事をして・・・」


アイカが涙を拭きながら申し訳なさそうに言う


「私達を救って下さったあの時から今日まで
 一日たりともギエン様の事を忘れた事はありませんでした」


メリスはなんとか涙をこらえながら、搾り出すような声で言った。
というか・・・私達を救った?

「君達は一体・・・」

戸惑う俺を見て、二人が補足するように喋りかけてくれた。


「あたし達は十五年前、ギエン様がノースリア地方を解放する時に
 モンスターに襲われて殺されそうな所をギエン様に助けられました」


「領主の城に閉じ込められ、レッドドラゴンに襲われる寸前であった私達を
 助けていただき、先程使われたスキルでレッドドラゴンを倒されましたよね」


メリスがニコッと笑いかけてくれたが俺は思わず吹き出しそうになっていた。
覚えてるよそれ!
どんどん地方を解放していた時にクエストで
「囚われた子供達を救い出せ」ってのが発生してその時に助けた子供の名前は確かアイカとメリスだ。
確か報酬が課金アイテムのランダムボックス(レアなアイテムがランダムで出る)
だったから解放するついでに受けたクエストだったけど・・・まさか助けた本人に会うことになるなんて。
偶然にしては出来すぎだよな。まあクエストで人助けなら一杯してたから助けた人に会う確立は
そんなに低くなかったのかもしれないけど。
報酬が課金アイテムだから当然難易度はかなり高いがそこはほら、
現人神の俺だったしかなり楽勝だった訳で。
でもランダムボックスの中身がエクスカリバーだったのはびっくりしたなぁ。
俺にはいらないからフレンドにあげちゃったけどね。




「君達はあの時の子供だったのか・・・」

「覚えていてくれましたか!あ、あたし達、ギエン様に憧れて冒険者になったんです!
 冒険者になって大陸中を回ればいつかギエンに会える様な気がして・・・」

「ふふっ、天界に行ったと言われてたギエン様に会える筈無いのに馬鹿ですよね私達」


「あ~というかそもそも俺、天界にいたわけじゃないんだけどな」


「「えっ!!」」


アイカとメリスが声を重ねて驚く。
でも実際天界になんて住んでないんだからしょうがないじゃん。
俺が住んでいたのは日本だよ。


「そ、それではこの十五年の間、ギエン様はどこに居られたのでしょうか!」


メリスが詰め寄ってくる。
あ、それ以上近づかれると君の胸についた男のロマンが当たっちゃうから離れてね。


「どこっていうか・・・まあその辺をぶらぶらと適当に」


十五年前のこの世界をゲームとしてプレイしていて気がついたらここにいました。
なんて馬鹿正直に言える訳がないのでお茶に濁す。


「そ、そうでしたか・・・私達が冒険者になったのは正しかったのですね!」

「だって、あたし達こうしてギエン様に会えたんだから!」


二人して抱きつこうとしてきたので俺は思わず後ずさってかわした。
はっきり言ってこんな密室でこんな可愛い二人に抱きつかれて我慢できる自信が無いから。


「どうして離れるんですかギエン様・・・」

「そんな悲しそうに言わないでよ。ほら俺だって男だから・・・判るだろ?」

「判りますよギエン様」

「ぬおっ、アイカこら、抱きつかないでくれ!」


メリスに気を取られた内にアイカに背後から抱きつかれてしまう。
彼女の体はメリスと比べて鍛えられており引き締まっているがそれでいながら
女としての柔らかさも絶妙に残っており一言で言うならもう辛抱たまらん。


「あたしを女として意識してくださるなんて嬉しいですギエン様。
 我慢なんてしないでどうかあたしを存分に可愛がって下さい」


俺の背中にほお擦りしながらうっとりとした声でアイカが言う。
こ、これは・・・経験無しの男にはとてもじゃないが・・・


「アイカ!あなたはまたそうやって抜け駆けして・・・」

「あら、こういうことは早いもの勝ちよ。
 ほら、あたしはこれからギエン様と愛し合うんだからさっさと出て行って」

「ふふ、ふざけないで下さい!ギエン様のお相手が勤まるのはこの私だけです!
 ギエン様っ!あたしを女にして下さい!」


そう言ってメリスも突っ込んでくる。もちろん男のロマンが俺と大衝突だ。
メリスは神官だからか体つきも冒険者でありながらそれと感じさせない
非常に女らしさを感じさせる物でこれも一言で言うならもう辛抱たまらん。
ダブルで辛抱たまらない俺の理性の糸はもう引っ張られすぎて今にも千切れそうだ。



「「ギエンさまぁ」」


二人の甘くねだるような声を耳元で聞いたとき
プチっと何かが切れる音がした。何の音かはご察しの通りである。
俺は今、理性から解放された獣となった!
二人をまとめて抱きかかえ無造作にベットに下ろす。
二人は潤んだ瞳をしながら何か期待している様子だ。ならばその期待に答えないとな!
俺は己の本能に身を任せ、二人に襲い掛かった。












「素敵だったわギエン様・・・」

「もう、私壊れちゃうかと思いました・・・」


うっとりとした様子の二人は俺の寝ているベットの左右に陣取っている。
俺は両腕を広げて二人の頭を乗せている、いわゆる腕枕の体勢だ。
つまりは、まあそういうことだ。


「ギエン様・・・ギエン様はこれからどうするの?」

「どうするかぁ・・・」


アイカは様付けこそするものの最初に会った時の様な砕けた喋り方になっていた。
これがアイカ本来の喋り方だろうし、俺としてもこっちの方が気楽でいい。


「私達はギエン様がどんな道を歩もうとも従い、ついていきます」


そう言ってメリスは俺の胸に顔を埋めた。
お互い何も着ていないのは今更だから突っ込むなよ。
二人の頭の中では俺についてくる事は既に決定事項になっているようだ。
まあ、俺としてもこんな関係になった二人を置いていくってのは考えられないが。


「二人は冒険者をしてるって言ったよな?」

「ええ。といってもまだほんの駆け出しだけどね」

「ギルドに登録できるのが十八才からですのでまだ登録したばかりなんです」

「そっか。ちなみにレベルは?」


二人はそれを聞かれて少し申し訳なさそうに顔を俯かせる。


「すいません、その・・・二人ともまだ13です」

「ギエン様のお供をするにはレベルが低すぎるかもしれないけど
 これから一杯修行して強くなるから!あたし達を捨てないでギエン様!」

「おいおい、誤解するなよ。別にレベル低いから置いていくなんてしないぞ。
 大体ポイズンリザードに苦戦してた時点でレベルが高くないのはわかってたし」

「あ・・・そ、そっか。ごめんあたし取り乱しちゃって」

「ふふ、アイカはおっちょこちょいなんだから」

「まあまあそれはいいだろ」


ここで俺はようやく起き上がりベットから出る事にした。
俺が離れたせいで二人が寂しそうにするがいつまでもこうしてる訳にもいかん。
とりあえず神聖服を着る。というか腰に巻く。
彼女達も緩慢な動きでようやく服を着てくれた。


「アイカが戦士で、メリスが神官でいいんだよな?」

「そうだよ、あたしが戦士でメリスが神官。二人でこれまでパーティを組んでたんだ」

「直接攻撃型と支援型でバランスはいいな。だが二人だとちょっと心もとなかったんじゃないのか?」

「それは・・・その、
 冒険者になったばかりの私達を受け入れてくれるパーティが無くてしょうがなく」

「入れてくれそうなパーティもあったけどあたし達を厭らしい目で見てたりして・・・」


二人共、目に見えて落ち込んでしまった。
確かにレベルの低い新人をパーティに加えるというのは難しい物だ。
自分の命を駆け出しの女の子に預けるなんてできないだろうからそれは仕方が無い。
一応、新人の育成を目的としたりするパーティもあるが彼女達は見ての通り可愛い女の子である
男共が醜い目で見たり最悪乱暴される恐れもある。二人で組むしかなかったのだろう。
そんな厳しい状況でも二人は諦めず、俺に憧れて冒険者になる事を選んでくれた。


「そっか・・・だけどこれからは俺が一緒だ」


嬉しくなった俺の口から自然と言葉が出ていた。


「「ギエン様!!」」


二人がまた抱きついてくる。
今度は拒否なんてしない。二人をしっかりと抱きとめる。


「俺もさ・・・冒険者になろうと思うんだ」

「ギ、ギエン様が冒険者に!?」

「そんな、ギエン様程の方ならどんな富や名声をも手に入れられるのに何故また冒険者に?」


二人共驚いている。
確かに伝説の勇者と言われるようになったらしい俺なら
それこそ一生贅沢をして暮らせるようになるかもしれない。


「俺さ、そんな伝説の勇者とか呼ばれたくないんだ。
 そういう堅苦しい立場になっちゃうといろいろとめんどくさいんだよ」


前にゲームとしてやっていた時は俺は現人神としてあっちを助けこっちを助け。
すご~いって言われて、はっはっはそんな事ないですよとか言い返したりして。
正直すごいうんざりしてたんだよね。もうどこ言っても
あ、ギエンさんだって言われてすぐ顔バレするから下手な事できないし。
下手な事したら一斉に叩かれるのが判っているんでもうすごい閉塞感。
もっと自由にやりたいのだ俺は。


「だからギエン様は今まで人前に姿を現さなかったのですか?」

「ま、まあそんな所だよ」


嘘だけどちょうどいいように解釈してくれたので肯定する。


「という訳で、俺はギエンじゃなくて
 魔法戦士の冒険者、エン・ヤナギとして生きるんでよろしく」

「ギエン様は魔法戦士だったの!?」

「ああ、今は違うけど元々魔法戦士だったから問題ない筈だ」


この世界のジョブは普通職と上級職の二種類に分かれている。
普通職として経験をつむと上級職に転職できるようになる。
彼女達の就いている神官と戦士はもちろん普通職に分類される。
上級職に転職できるのは個人差もあるが大体皆、レベル60以上である。
俺は上級職の魔法戦士にレベル62で就いて
レベル100になった時に現人神という最上級職に就いた。
最上級職はこの現人神しかなく他のプレイヤーは上級職止まりなのだ。
 

「あ、あたしも魔法戦士を目指してたの!ギエン様が魔法戦士だって知らなかったけど!」

「元、だけどな。後それから名前。俺の事はこれからエンと呼んでくれ」


ギエンと言う名が勇者として語り継がれてる以上、その名を名乗るとばれるかもしれない。
というわけで結局キャラの名ではなく俺の本名を名乗ることにした。

 
「わかりました、エン様。それではエン様はこれから冒険者として?」


自分より先に俺をエンと呼んだメリスをアイカが睨むがメリスはしれっとしている。
俺は宿に備え付けられている冷蔵庫に入ってある飲み物を飲み始めた。
炭酸系の様だがなんとも言えない匂いが漂う。だが味は意外と悪くないから不思議だ。
ちなみに冷蔵庫といってもこれは魔法で動いているらしい。
とても機械仕掛けには見えない簡素な作りだし、電気コードも見当たらない。
ある意味俺の世界より便利だな。



「そういうこと。そういや二人は何処のギルドの所属してるの?」

「何処の・・・ですか?何処と言われましてもギルドは一つしかありませんが」


メリスが首を傾げる。あれ、ギルドって一つしかないのか?
俺がやってた時はレベル50になって金さえ払えば誰でもギルドを作れたんだが。


「あれだよメリス。昔はギルドが一杯あったからエン様はその事を言ってるんだよ」

「昔の話なのか?悪い、最近の情勢は全くわからなくてな」

「そうでしたか。確かに昔はギルドが沢山ありました。
 ですが徐々にギルドは合併していき今では一つのギルドとして大陸全土に広まっています」

「へぇ~そうだったのか」

「はい、ギルド「株式会社」は世界唯一にして最大のギルドです」



ぶううううぅぅぅ!!!



飲んでいた謎の飲み物を吹き出した。
ぎりぎりで横を向いたからアイカ達にぶっかけてしまうのは避けられたが。



「だ、大丈夫エン様?」

「だ、大丈夫。それより株式会社だって!?」

「や、やっぱり変な名前ですよね。私達もそう思ってはいるんですがご存知でしたか?」

「ご存知も何も・・・」


ギルド「株式会社」は俺がヴァルキュリアをやっていた時の最大手ギルドだ。
クローズドベータの時からギルドを結成してそのまま巨大ギルドになっていた。
もちろん俺とも旧知の仲でギルドマスターの「社長」は
俺と現人神の座を争った廃人仲間である。
まさかこの世界でもその名前を聞いて、しかも大陸唯一の巨大ギルドになってるとは・・・
なんかこっちにきてから驚く事ばかりだ。当然といえば当然なんだが。



「昔いろいろと、な。・・・マスターの社長は元気か?」


俺がそう言うと彼女達は驚いた様な顔をして言った。

「エ、エン様はご存知ないのですか?十年前の英雄大昇天を」

「英雄大昇天?」


メリスの口から聞きなれない言葉が放たれる。
ヴァルキリアをやりこんだ俺の知識にも無い単語だ。


「・・・本当にエン様は人と離れていたんだね。 
 今から十年前、突然大陸中の英雄と言われる様な冒険者達が一斉に姿を消したのよ」

「その方達はいずれも劣らぬ素晴らしい冒険者ばかりなので
 戦女神様に連れられて、天へと向かわれたと言われているのです・・・」

「なんだそりゃ・・・その時に社長も?」

「はい、他にもサブマスターの副社長さんや幹部の専務さんに常務さん。
 ギルドに所属していませんでしたが剣聖と言われたポンデリングさんや
 大魔道士、神崎あかりさん。義賊団団長のモエタンさん等の名のある人は
 皆様姿を・・・エン様どうされました?」

「い、いや・・・別に・・・」
 

真面目に語るメリスの手前、我慢していたが俺は今にも笑い出しそうだった。
彼女の口から出る「英雄」がどいつもこいつも俺のフレンドばかりだからだ。
実際この世界であいつらの名前を聞くとおかしすぎて非常に笑える。
ギエンってまだまともな名前を付けた俺を褒めてやりたい。


「そっか・・・皆消えちゃったか」


俺がロキを倒したのが十五年前だからそれから五年後か。
消えたのは俺のフレンドばかり。ゲームとしてやっていた人物ばかりだ。
俺の頭の中に英雄大昇天に対する仮説が生まれた。

ヴァルキュリアのサービスが終了した・・・とか?

いくら面白いと言われるMMOでも何年もすれば飽きられる。
それはもう抗いようの無い事実だ。
ヴァルキュリアも俺がやっていた当時は圧倒的な人気を誇っていたが
それでもいつかは失速しただろうし。
皆が消えたってことは、要するにヴァルキュリアがプレイできない様になった。
ヴァルキュリアのサービスが終了したというのは十分ありえる話だ。
だったらこの世界は一体なんなんだとも思うが
そもそもこんな世界がある事自体がおかしいからそれはまあいいか。

でもそうなるとこの世界にいるのは俺だけということになるのか・・・
ギルドの名前や皆の名前が出た時、
もしかしたらあいつらもこの世界にいるのかもと思ってしまった。
だが俺は一人だ。そう、はっきりと言われてしまったのだ。
笑いそうだった気持ちはとっくに消えていた。
俺が心の中で葛藤している間も彼女達の説明は続く。


「はい。名のある冒険者達が一斉にいなくなってしまった為、冒険者のレベルが一気に下がり、
 大きな事件があった際、単独のギルドでは対処できなくなってしまったのです」

「それでいろんなギルドが合併したってわけ。
 既に有名で一番巨大なギルドだった株式会社って名前に統一してね」

「そう・・・だったのか・・・」

「エン様、どうしたの?」

「エン様・・・大丈夫ですか?」


いつの間にかしんみりとした心境になっていた俺を心配そうに彼女達が見ている。
アイカにメリス。どちらも実質会ったばかりの俺なんかを
とても慕ってくれてる可愛い女の子達だ。



・・・まあいいか

例え俺しかこの世界に来ていなくても、こいつらがいる。
そう思ったら気持ちが軽くなっていた。二人の頭を軽く撫でてみる。
感触は違うがどちらもずっと撫でていたい様な気持ちにさせてくれる。


「・・・ああ、大丈夫だ!よし、それじゃ早速ギルドに行くか」

「あ・・・う、うん。いこっ!」

「アイカったら。すっかり舞い上がっちゃって」

「なんだよ、メリスだって顔がとろけきってるぞ」

「こ、これはその・・・いいじゃないですか!それよりアイカも・・・」


再び言い争う二人のやりとりを見て笑ってしまう。
いいさ、この世界で俺は生きてやる。
冒険者として「ヴァルキュリア」を満喫させてもらうとしよう。








「とりあえず服が欲しいな」



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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

ヴァルキュリア! 第3話

アイカ達に用意して貰った「麻の服」は防御力が皆無で
見た目にもそこら辺にいる村人Aにしか見えない。だが俺は全く文句が無かった。
というか用意してもらっておいて文句言うなんて理不尽だろ?
それに上半身に衣服を着るってのは想像以上に安心感を得る事が出来た。
現代人である俺が外でずっと半裸ってのは結構なストレスだったのだ。



「ギルドってどこら辺にあるんだ?」

「このまま五分程歩いた所にありますよエン様」


俺達は早速ギルドに向かっていた。
あまりのんびりしているとナイアガラブタの肉の鮮度が落ちて報酬が少なくなるらしい。
中世のような雰囲気の街は人々の活気で満ちている。
空気も現代の様に澱んでいないし、実に清々しい気分だ。
露店商の景気のいい呼びかけ 街の奥様方の噂話 冒険者風の男達の騒ぎ声
この世界を楽しもうと割り切った俺にとって全てが新鮮で心躍るようだった。
ゲームでならこの街にも来た事はあったが実際にこの場に立ってみるとまるで印象が違う。
どこになんの施設があるかなど全くわからないので俺は二人に案内してもらっていた。


「むふふ、エン様ったらキョロキョロしてどうしたの?」

「え・・・ああ昔とは随分変わったなって思ってな」

「モンスターに占領された時から十五年経ちましたからね・・・
 今では占領されていた名残はすっかりありませんので驚かれるのも無理はないです」


確かに解放したての時と比べて町並みはちゃんと整備されてるように見える。
もっとゴミゴミしてたもんな。
頭の中でゲームの風景を思い返していると不意に頭を引っ張られる様な感覚がする。


「こらアイカ。髪の毛を引っ張るなよ」

「ごめんなさ~い。でもエン様のしっぽってなんか触りたくなるのよね」


謝ってはいるがアイカの手は変わらず俺の髪の毛を引っ張っている。
雑草の様に伸び放題だった長髪は奇麗に纏めて後ろで縛ってある。
一応現人神の特徴を誤魔化す為のちょっとした変装だ。
尻尾みたいになってるのでついつい引っ張りたくなるのかな?
不衛生なオタクがやるとおぞましいが純白の髪を持つ俺なら恐らく許されるだろう。
顔は本来の俺と変わってないのでお世辞にも整ってるとは言えないが
この引き締まった体のおかげでなんとか雰囲気イケメンぐらいの容姿にはなっていると思う。思いたい。


「止めなさいアイカ。エン様に失礼ですよ」

「はいはい~でもメリスだって本当は触りたい癖に我慢してるんでしょ」

「馬鹿言わないで。私はエン様に触れられるならどこだっていいです」


そう言ってすすっと近寄ってくるメリス。
三人でじゃれ合ってると、どうにも視線を感じてしまうので自重して欲しい。
そのまま俺の匂いを嗅いで悦に入ったような表情をしていたメリスだが急に我に帰る。


「そうでしたエン様、ギルドに行く前に武器屋に行かないといけないんでした」

「武器屋?なんか欲しい武器でもあるのか?でもそれなら別にギルドに行った後でもいいんじゃ」

「確かにアイカの武器が消耗してますので修理に出さないといけませんが
 それよりもエン様の武器を購入しないといけないんです」

「俺の武器?」


なんでまた俺に武器をと思う。
だがアイカはそれを聞いてポンっと手を打った。


「そうだった。確かにエン様に武器がないと不味いわね」

「エン様はギルドに行ってギルド員として登録するんですよね?」

「ああ、そのつもりだが」


一、ギルド員としてクエストをこなして収入を得るという
典型的な冒険者になってみようと思っているので当然だ。
ゲームでもギルドに入った事が無いので実はすごく楽しみなのである。
現人神になる前もレベル上げ最優先でやってたからギルドに入ってなかったんだよなあ。


「ですが今のエン様が登録に行っても許可はおりない可能性が高いです」

「え、そうなの?これでも実力には自信があるんだけど」

「もちろんあたし達はわかってるけど、エン様の格好じゃ説得力ないでしょ」


言われて見返す自分の身。成る程、ただの村人Aがギルドに登録しますって言っても駄目だな。


「せめて武器ぐらいは所持しておかないと冷やかしだと思われてしまいますので」

「あたし達が冒険者として推薦するけどレベル13のあたし達の推薦だけじゃ弱いのよ」

「了解。確かにこの格好じゃ武器ぐらい持ってないと格好つかないな」

「武器屋はすぐそこにありますので行きましょう。
 あまり予算はないので恐らく最下級ランクの武器しか買えないと思いますが・・・」

「何から何まで奢ってもらって悪い・・・なんか俺ヒモみたいだな」

「だったらヒモらしく、あっちの方で頑張ってねエン様ぁ」

「・・・街中で喋る内容じゃないぞアイカ」








ウエスタン映画に出てくるような開き戸を開ける。
一瞬中にいた皆がこちらを見るがすぐに興味を失ったように目を戻す。
ここがギルド株式会社サウスリーン支部らしいが・・・


「まるで酒場だな」


どう見ても酒場にしか見えない。
各テーブルに座って飲んでいる者は皆冒険者の装いだが俺の想像していたギルドとは違う。


「酒場も併設してるんです。冒険者同士の情報収集の場にもなりますんで。
 奥の方にギルドの受付があるんでまずはそちらへ行きましょう」

「え~ちょっとお酒飲もうよ。せっかくだからエン様の飲みっぷりが見たいなあたし」


アイカが空いてる椅子に座り込んで駄々をこねる。ちなみ俺は酒がほとんど飲めない。


「駄目よ。まずクエストの清算をしないともうお金も無いんだから」

「ぶ~ぶ~メリスのけち」


テーブルを抜けて奥へと行く。
カウンター越しにいる事務員の様な女性がいる。
紫のポニーテールに小さな丸メガネとは・・・中々心得ておるな。


「やあ、俺も尻尾ヘアーなんだ。奇遇だね。」

「は、はぁ・・・」


アイカに引っ叩かれた。自分でも想像できないセリフだったぜ。
何事も無かったかの様にメリスが事務員さんに話しかける。


「すみません今のは忘れて下さい。クエストの清算をお願いします」

「え・・・は、はい清算ですね。それではまずクエストの受付書を・・・」

「ねえエン様ってポニテ萌えなの?それならあたしもポニテにするけど」

「え、マジ!?・・・それならお願いしちゃ」

「そこの二人!静かにして下さい!」

「「はいっ!」」


怒られた。何故か事務員さんも怒られた様に怯えていた。
メリスは俺達を強烈な眼力で一瞬睨むつけた後、すぐに表情を戻した。
・・・メリスを怒らせるのはなるべく止めておこう。というか何でそんなに怒ったんだ。


「そ、それではこれが、報酬の三百ゴールドになります」

「はい・・・確かに」

「なぁ三百ゴールドってどれぐらいなの?」

「エン様は・・・って今更か。
 あたしらのとった宿が一泊一人三十ゴールドだから大体三日分の生活費になるわね」

「そんなもんなのか。命がけの仕事なんだからもっとくれるのかと思ったけど」

「あたし達の受けたクエストはナイアガラブタの肉収集っていう
 難度Eのすごい簡単なクエストだからしょうがないわよ。
 難度BとかAのクエストなら一回で何万ゴールドって行くらしいけど
 ギルドランクEのあたし達じゃまだまだ先の話だもん」

「ギルドランクかぁ。それが高くないとランクの高いクエストは受けられないってことか・・・」


ゲーム慣れしている俺はギルドランクなる制度をすぐに理解した。
簡単で低報酬の仕事をこなしていけば徐々にランクが上がって
難しい高報酬のクエストを受けれるようになるんだろう。


「それと新たにギルド登録をする方の推薦をします。エン様、こちらに来てください」

「あ、はいはい」


メリスに言われると俺は駆け足で向かう。
別にメリスが怖かったわけじゃないぞ?・・・多分。


「新たに登録される方ですね。記録をとりますので質問に答えてくださいね。 
 まずお名前とジョブを教えてください」

「はい、名前はエン・ヤナギ。ジョブは魔法戦士です」

「え!ま、魔法戦士ですか!」


事務員の子が大きな声を出して立ち上がる。
そして酒場の方にいた冒険者達も一斉に俺の方を見てきた。
なんだ、何かまずい事でもいったのだろうか?隣に控えているメリスに小声で話しかける。


「なあ、なんだこの反応。何か俺やっちゃったのか?」

「いえ、ただ上級職に就いている人は今では非常に少ないので驚いているんだと思います」

「げ、そうなのか?」

「はい、英雄大昇天で上級職に就いていられた方は皆いなくなってしまい
 それ以後、上級職に就ける程の人はほとんどいません。
 現在では上級職のギルド登録員は大陸中に五十名足らず、
 このサウスリーン支部に至ってはただ一人しかいません」

「マジかよ・・・っていうかメリスいろいろ知ってるな」

「いえ、これぐらいは・・・」


むう・・・十五年でそんなにレベル低下していたのか。
俺がゲームでやっていた頃は上級職なんて一山いくらのレベルでいたんだが。
目立ちたくない俺からすればそれは非常に具合が悪い。従って


「すいません、見栄張っちゃいました。本当はただの戦士です」


嘘をつく。まあ魔法戦士ってのも嘘なんだけど。


「え・・・そ、そうですよね。こう言っては失礼ですが
 とても上級職に就いている方には見えませんもんね」


すんなり納得されるのもそれはそれで傷つくな。
アイカが何か言いたそうにしたがメリスが口を塞ぐ。良くやった。


「使用武器は・・・そちらのハンドアックスでよろしいですね」

「はい」


武器屋に行って俺が選んだのはこのハンドアックスだった。
剣でも良かったのだが剣はアイカがショートソードを装備してるので
同じ剣というのもなんとなく芸が無いだろうと思って俺は斧にした。
スピード型のショートソードとパワー型のハンドアックスで装備のバランスはいいだろう。
これに杖装備で支援型のメリスが加わればほぼ完璧である。
このハンドアックスはワゴンに山積みになっていた安物だが強度はそれなりあるようだ。
ただし切れ味はほぼ皆無だろう。刃先潰れてるし。だから安かったんだろうな。


「レベルはおいくつですか?30以上の方には登録時に優遇させてもらっています。
 もちろんレベル測定はさせてもらいますが」

「あ~20にしといてください」


優遇ってのがなんなのか気になるが俺は目立たないよう、低いレベルを申告した。
レベル測定なんてされて俺のレベルがばれると面倒になるのは目に見える。
俺の言い方に疑問を覚えたようだがさっとスルーしてくれた。
ちなみに疑問に思った時の人差し指を口元に当てる仕草が個人的にツボだった。


「はい・・・・・・それではエン・ヤナギさんをランクEギルド員として登録します
 ギルドに関する詳しい説明は必要でしょうか?」

「あ~いいや。わからない事があったらこいつらに聞くし」

「はい、何でも聞いて下さいエン様」

「メリスばっかりずるい~!あたしにも色々聞いてよエン様」

「そうですか・・・残念です」


ちょっと、いやかなりがっかりしている事務員さん。
そんなに説明がしたいのか。しょんぼりとうつむく彼女をそのままにする気になれなかった。


「や、やっぱり説明してほしいかな」

「え、本当ですか!そ、それでは説明させてもらいます。
 まずギルドの創設の経緯から説明させてもらいますね。
 このギルド株式会社は今から十七年前、初代ギルドマスターであられる社長様が・・・」

「え、えっと悪いけどそこら辺は知ってるからいいや。
 ギルドランクについてに説明でもお願いするよ」


話が長くなってしまいそうなので適当に誤魔化して自分の聞きたい事だけをお願いする。
どうやら相当な説明好きらしい。話を遮られてやや不満そうだがすぐに表情を切り替える。



「そ、そうですか・・・それではギルドランクについて説明させてもらいます。
 まず最初にギルドに入られた方は全員ランクEからのスタートになります。
 エンさんも当然ランクEからになります。基本的にギルドで受けられるクエストは
 自分のランクと同じランクのクエストしか受けることができません」

「基本的にってことはなんか例外があるの?」

「はい、一つはパーティを組む事です。同ランクのメンバーが三人以上いると
 一つ上のランクのクエストを受ける事ができます。
 エンさんと後ろにいるお二人はランクEですので三人でパーティを組むと
 ランクDまでのクエストを受ける事ができます」

「他にはあるの?」

「他にはギルドからの推薦があります。これはランクが足りないながらもクエストとの相性が良い、
 低ランクながらも実力が十分とギルドが判断した時の為の制度です
 ただしどのクエストでも受けられるという訳ではなくギルドが指定したクエストのみになります。
 ですが推薦されたクエストなら例えランクAでも受ける事ができます」

「なるほど、自分のランクを二つ以上超えるクエストはギルドが指定したのしか受けれないのか」

「推薦されればの話ですがそうなります。次にランクアップについてです。
 ランクアップに必要な条件はまず同ランクのクエストを十回以上クリアしている事。
 ただし、先程言いました方法で上のランクのクエストをクリアした場合も一回に含まれます。
 そしてレベルが規定以上である事です」

「え、レベル制限もあるの?」

「低レベルの人が高ランクになってしまうと危険ですので制限がつきます。
 Dランクになるにはレベル21以上 Cランクになるにはレベル31以上
 Bランクは41以上 Aランクになるには上級職に就いている事が条件になります」

「レベル制限があるって事は当然・・・」


「はい、測定させてもらいます。
 といってもこちらの「見識の台座」に手を置いて頂くだけですのでご安心下さい」



怒涛の勢いで説明をする事務員さんだが中々わかりやすいのでまだ許せる。
しかしランクアップにレベル測定があるのは困る。
俺のレベルを教えるとパニックになるだろう。といっても俺も自分がいくつかわからんのだが。
レベル100になって現人神になり、全能力超上昇という特殊能力がついたおかげで
同レベルの他職をはるかに上回る力が入った為レベルを全く気にしなくなったからだ。
100の時点でもレベル限界では無かったから恐らく今はもっとレベルが上がっているだろう。
何せ現人神になってからはそれまでの数十、数百倍の経験値を持っているであろう
凶悪なモンスター達を大量に倒していたからな。
だけど、なんかしらの方法でレベルを誤魔化さないとランクアップはできそうにないな・・・


「例えばランクAの奴がランクAのクエストを受けて
 ランクEの奴2人と一緒にクエストをクリアしたらどうなるの?」

「クエストを手伝うのは自由ですがその場合ランクEの人は
 クエストを受けていない扱いになります。
 ですので例えクリアしてもランクアップ条件のクエストクリア回数には追加されません」

「じゃあ逆にランクEの奴がランクEのクエストを受けて
 ランクAの奴と一緒にクリアした場合は?」

「ランクEの人がクエストを受けたのならクエストクリア回数に含まれます。
 ポイントはクエストをクリアするという所ですので
 その為に助っ人を頼んだとしても問題ありません。
 その方法でクエストをクリアしてもレベルが足りなければランクアップはできませんから」


しかしこの人、さっきから一人でものすごい喋ってるな。
これが生きがいですと言わんばかりに眼も輝いているしすごく楽しそうである。
後ろの二人は既に話など聞いちゃいない。
自分達にわからない事は聞くと言っておきながら
俺がわざわざ事務員さんに説明を聞いているのを怒っているのか?
それとも単に知っている話で興味がないからか?


「と、とりあえず今回はこれぐらいでいいよ。また今度お願いね」

「残念です・・・まだまだ言いたい事は山の様にあるのですが・・・」


ほっておくといつまでも喋り続けそうなので無理やり話を打ち切る。
とりあえず知りたかったランクアップの話は聞けたので十分だ。
会話が途切れたのをアイカ達が気づいて近寄ってきた。


「話は終わったの?レミィは説明長いんだから迂闊に質問しちゃ駄目よエン様」

「ご、ごめんなさい。ですけどそれが私の仕事ですんで」

「私達の時は延々と三時間も説明しましたよね。ランクアップの話だけで」

「うっ!それはその・・・」


事務員さんの名前はレミィさんと言うのか。しかしランクアップの説明だけで三時間とは。
俺に言ったのでもかなり短い部類だったのか。
どうやったらそんなに時間をかけて説明できるのだろうか。さっきの話で十分過ぎるんだが。


「アイカ達はこの人と知り合いなのか?」

「知り合いっていうかギルドでクエスト受けてたら嫌でも顔見知りになるわ」

「そんな・・・嫌でもだなんてひどいです」

「私達に嬉々として長時間説明する方がひどいですよ」

「みゅう・・・」


みゅうて。これまた露骨な萌え要素だな。
だがそれがいい。
それにしても最初はお役所的な対応してると思ったら二人とかなり打ち解けてるんだな。


「仲いいんだな」

「う~ん、あたしらと年が近い人ってギルドにはあまりいないし一応友達って感じかな」

「一応ですか・・・」

「拗ねないのレミィ。それよりクエストを受けたいからリストを出して」


メリスは涙目のレミィに仕事をするように促す。
なるほど・・・なんとなくこの三人の関係がわかったような気がする。


「は、はい。ランクEの方が三人いますので
 ランクDまでのクエストを受ける事ができますがどのランクのクエストを受けますか?」 

「エン様どうしましょうか?」

「二人はまだランクEのクエストしか受けた事ないんだよな?」

「ええ、二人で組んでたから上のランクのクエストは受けれなかったの。
 まあ受けれたとしてもあたし達のレベルじゃまだクリアできないだろうけど」

「そうか・・・それじゃ俺も最初だしランクEのクエストにするか」



上のランクのクエストを受けても俺は大丈夫だろうが
アイカとメリスにはまだきついかもしれない。
当面はランクEの仕事を受けながら二人のレベルを上げようかと思う。


「それではこちらがランクEのクエストリストになります。
 期限付きのクエストもありますが好きなのを選んでいただいて構いません」


レミィがカウンターの上にクエストの書類をどさっと置いた。
数十枚はあるだろうというそれを一枚一枚見比べていく。
アミノキノコの収集・・・キノコ採りに行くだけってのは面白くないからパス
ペット用モニョの捕獲・・・アイカ達の修行にならないからパス
ナイアガラブタの肉収集・・・さっきまで二人が受けてたクエストだからパス
中々決まらず迷っている様子の俺達にレミィが話しかけてくる。


「特にやりたいクエストが無いのでしたらこちらのクエストをお勧めします。
 この街から北にあるトリデ洞窟に生息するジャイアントバットの羽収集です
 距離的にも往復で二日あれば十分ですしモンスターのレベルも15と
 三人のレベルなら十分に倒せる丁度良いクエストだと思います」


並べてある書類から一枚を選んで説明してくれるレミィ。
そしてそのクエストは俺達の求める条件にぴったりだった。


「おお、そりゃ良い。良いクエスト教えてくれてありがとうな」

「レミィは仕事に関してはしっかりしてくれますので」




「そ、そんな!私なんかまだまだ勉強中の身で・・・」


彼女は謙遜しているが俺はメリスの意見に同意。
どうやら見た目とは違い中々優秀なようだ。

「それではそのクエストにしましょう。報酬はいくらですか?」

「ジャイアントバットの羽一枚につき20ゴールドで買取ます
 こちらの品は商人からの買取希望が常にあるので買取制限はありません」

「それじゃ集めたら集めただけ報酬を貰えるってことか」

「はい、ですがランクEの冒険者の方でしたら一人二十枚も集める事が出来れば上出来です。
 名前の通りジャイアントバットの羽は結構大きいのでEランクのレベルの冒険者では
 平均してそれぐらいしか持ち運べないでしょうから」

「了解っと。クエスト受付書貰って・・・それじゃ早速行くか」


意気揚々とギルドを後にしようとする俺をアイカとメリスが慌てて呼び止める。


「え、エン様!まずは道具屋に行って回復剤やキャンプ用具を揃えないといけません」

「そうそう。往復で二日はかかるってクエストなんだからしっかりと準備しないと危ないのよ」


二人の言う事は尤もだ。ただしそれが普通の冒険者だったらだけど。
ここに来てからずっと質問ばかりしてた為か
彼女達はどうも俺が現人神だってのを忘れているようだ。
俺は二人を両脇に抱え込む。うむ、人間二人を持っても楽勝だぜ。


「いいからいいから。それじゃ速攻で行くぞ!」


ちょっと抵抗する二人を無視して、俺は現人神の能力をフル活用して全力で走りだした。
酒場にいた何人かを吹き飛ばした気もするが速過ぎて向こうも何がなんだかわからんだろう。


「・・・あら、エンさん達はどこに行ったんでしょうか?
 もっと説明しなければいけない事が沢山ありましたのに・・・」



レミィは音速にも匹敵するような速さで走っていったエンに気づく事が出来なかった。












それから五時間後。すっかり夜も暮れてしまっている。
俺は宿屋の一室の床に正座してアイカとメリスに説教を受けていた。


「折角あたし達が目立ちたくないってエン様の意を組んで普通にクエストを受けようと思ってたのに」

「はい、反省しています」

「本当にわかっていますか?通常往復に二日かかるクエストを四時間でクリアしてしまったんですよ?」

「はい、調子に乗ってました。ごめんなさい」


自分で目立ちたくないと言っておきながら思いっきり派手な行動をしてしまいました。


「それにレミィがランクEの冒険者じゃ二十枚ぐらいしか集める事が出来ないって言ってたでしょ!
 なんで三百枚も集めちゃうのよ!もうトリデ洞窟のジャイアントバット絶滅しちゃったじゃん!」


調子に乗って狩り過ぎちゃいました。今じゃすっかりトリデ洞窟は平和そのものです。
だって想像以上に弱かったんだもん、ジャイアントバット。


「大の男が五十人は入りそうな巨大な風呂敷包みを背負ってギルドに入った時に
 他の冒険者達からどんな目で見られていたと思っているんですか?」



二人の言葉の一つ一つが俺に突き刺さる。もう全て仰るとおりです。
別に彼女達は俺が現人神だって忘れてたわけじゃありませんでした。
俺の意思を尊重して目立たないようにしようとしてくれてたんですね。
それを俺が自らぶち壊しちゃったと・・・


「エン様には罰が必要ですね・・・」


メリスが立ち上がり神官服に手をかける。なんか息が荒くなっており興奮している様だ。
アイカはいつの間にか下着姿になっていた。
そのまま腰に手を当てて俺を指差した。


「今日は朝まであたし達の相手をしてもらうからね!」


その言葉を合図に体に残った衣類を脱ぎだす二人。
これは罰になるんだろうか?むしろ逆のような気が・・・
俺の考えはもう全裸になっていた二人に押し倒された事によって中断してしまった。








「みゅう・・・いつまで経っても終わらないです・・・」


レミィは深夜になっても一人、エンの持ってきた大量の羽の処理に追われていた。
既に酒場も閉めているのでひとりぽっちである。目にはうっすらと涙まで浮かべている。


「それにしてもどうしてアイカさんとメリスさんはエンさんの事をエン様と呼んでいたんでしょうか。
 ・・・・・・も、もしかしてエンさんは二人のご主人様!?アイカさん達は奴隷!?
 毎晩三人で肉欲の宴!?ど、どうしましょう!このままでは私も手篭めにされちゃうんじゃ!?」


真っ赤な顔をしてイヤンイヤンと悶えている様子を見る限りまだまだ大丈夫そうである。
しかも彼女の妄想は大体当たっていたりするのであった。







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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

ヴァルキュリア! 第4話

目の前にいる二足歩行をしているものの一目見て人間では無いとわかるその姿。
獣人系下級モンスターのコボルトだ。
彼らは茂みに隠れている俺らに気づく様子が全く無く、好き放題に畑の野菜を食い荒らしていた。
俺の隣で息を潜めつつタイミングを計っていたアイカとメリスが顔を合わせ無言で頷いた。


「パワースラッシュ!」


全速力で飛び出したアイカが掛け声と共にスキルを繰り出す。
「パワースラッシュ」は戦士の基本スキルで通常時よりも強力な一撃を繰り出す。
使用してもMPや気力をほとんど消耗しない為高レベルになっても割と使用されている。
慌てて振り向いたコボルトだったが突然の出来事にろくに対応もできず
直撃を食らってしまい体を分断され命を絶たれてしまった。
仲間の突然の死に、残った二体のコボルトは即座に攻撃の姿勢を見せる。


「メリスッ!」

「はいっ・・・スロウ!」


だがそれよりも早くメリスが呪文を唱える。
メリスが唱えた魔法は素早さを奪う「スロウ」
呪文を食らった一体の動きが鈍くなる。急に体が重くなったコボルトはバランスを崩してしまい、
その隙を逃さずアイカが剣を振り下ろすとコボルトはあっけなくやられてしまった。
アイカが攻撃した隙を狙おうとしたコボルトがいた。だがそれも予想通りだった。


「無防備ですよ・・・ウインド」


魔力で作られた風の塊が無防備なコボルトに叩きつけられた。
悲鳴を上げながら吹き飛び、木に勢い良く叩きつけられたコボルトはそのまま動かなくなった。


「・・・・・・これで全部かしら?」

「いえ、報告では全部で四体いると言っていました。後一体どこかにいるはずです」


警戒を解かずにメリスはアイカに近づいていく。
そして彼女達が戦闘中の間も茂みから出ようとしなかった俺がようやく動き出す。


「二人ともお疲れ~」


気の抜けた声を出す俺に二人が注意してくる。


「エン様、まだ全ての敵を倒したわけではありません」

「そうだよ。エン様はまだ引っ込んでいてね」

「そういうなよ。もう暇で暇でしょうがないんだよ」


初日のクエストでの大失敗(クエスト自体は大成功だが)をやってから
俺はクエストに参加させてもらえなくなっていた。
次の日にギルドに行った時の周りの冒険者の奇異の目とレミィの恨みがましい目が
俺のやってしまった事を再確認させる。
あれから今日で二週間。その間に五つのクエストをやったが俺は見学してるだけで終わった。


「しょうがないじゃん。エン様がやったらこんなの一瞬で終わっちゃうわよ」

「私達の経験値にならない上、今回は村の人が見てますし・・・」


今回のクエストはサウスリーンから少し離れた村で起きた畑荒らしの退治。
村の問題だけあって、クエストをやる際に村長が遠くで確認しているらしいのだ。
自分の能力をいまいち制御できない俺は今回も当然と言わんばかりに見学になった。


「まあまあいいじゃん。それよりアイカ、そろそろその武器にも慣れたんじゃないのか?」


彼女の手にあるのは以前から装備していたショートソードでは無かった。
ジャイアントバットの羽の報酬が結構な金額になったので装備を買い換えたのだ。


「ええ、結構馴染んできたわよ。でもこの剣すごいね。
 レベル18のコボルトをあんなにスパスパ切れちゃうんだもん」

「そりゃあ二千ゴールドもしたからな。それぐらいの威力はないと困る」


購入したのは神秘の刃という長さ四十センチ程のショートソード(上記と違い剣の種類を指す)だ。
剣としての出来は微妙だが、魔力が込められており切れ味が増している。
とは言えその魔力もそれほど高くはない。正直名前負けしている。
それでも並の武器よりは性能も良くランクEの冒険者の装備としては十分な得物である。


「アイカばっかり・・・私にも何か欲しかったです」

「いやいや、メリスにはその腕輪買ったじゃん」


メリスには神秘の腕輪なるシンプルな装飾の腕輪を買っていた。
神秘の刃と同じく僅かの魔力が込められているので防御力が上昇する。
とはいえこれも名前程ではない。
「神秘」シリーズは低ランク冒険者にも手が届く値段の人気装備なのだ。


「俺なんかこの鉄の胸当てだけだぞ?」


魔力付与も何も無しの適当に作られた量産品の鉄の胸当て、特価で二百ゴールドでした。
二人が買った物とは値段の桁が違う。
とりあえず冒険者らしい格好をしたかっただけなので十分だけどね。
それから残ったお金で二人は防具も多少良いのに新調しているので
最初のクエストの報酬はもう既に残っていない。


「ふふ、似合ってるわよエン様」


アイカがそう言って微笑んでくれる。
メリスも俺を褒めようとしてくれたのか何かを口にしようとした。
が、次の瞬間。
茂みからこの場には居なかった筈の残りのコボルトがメリス目掛けて襲い掛かってきた。


「危ないメリぶにゅ!」


俺は言葉を最後まで口にすることが出来なかった。
にやにやしながらアイカが口を塞いできたのだ。


「大丈夫よエン様」


アイカが言い切るより早く、メリスはコボルトの方に向き直し杖を構えた。
そしてコボルトの爪による攻撃をなんと杖で受け止めた。
競り合いの衝撃に顔を歪めたメリスだったがすぐに不敵な笑みを浮かべる。
その表情が気に食わないのかコボルトはいきり立って更に攻撃を加えようと振りかぶった。
だが、コボルトは急に悲鳴を上げそのまま崩れ落ちてしまった。


「ナ~イス、メリス」


崩れ落ちたコボルトの背後に満足げなアイカがいた。
メリスがコボルトの攻撃を受け止め競り合ってる間に背後に回っていたようだ。


「ふぅ・・・思ったより攻撃が強くて少し焦ったわ」

「おお~・・・ナイスコンビネーション」


俺は無意識の内にそう言って拍手をしていた。
言われて二人が照れたように笑う。


「コボルトは知能が低く単純ですから容易でした」

「あはっ、あたし達も付き合い長いからね。これぐらいならなんて事無い・・・お?」


急にアイカの体が光に包まれた。
それだけでは無くどこからか鐘の音も聞こえてくる。アイカがレベルアップをしたのだ。
若干遅れてメリスも光に包まれる。同じくレベルアップだ。


「おお、二人共おめでとさん」

「ありがとうございますエン様」

「やったね。これで17だ!」


二週間で4つのレベルアップ。
中々悪くないペースじゃないだろうか?
二人は常にパーティを組んでいる為、全く同じタイミングでレベルが上がっている。


「なんかスキルでも覚えたか?」

「あたしは・・・特に無いわ」

「・・・私はプロテクトの呪文を覚えました」


残念そうなアイカとは対象的に微笑を浮かべるメリス。
そんなメリスを見てアイカが頬を膨らませた。


「ずる~い。メリスそれで六個目のスキルじゃん。あたしはまだ三種類しか覚えてないのに」

「戦士はスキルの種類が少ないからしょうがないさ。
 その代わりにいろんな身体能力が上がったりするんだから」


アイカの不満に俺は思わず苦笑してしまう。
それは俺も以前感じた事がある不満だったからだ。
俺も最初に戦士で始めた時はスキルの少なさに文句言いまくりだったな。
パーティを組んだ武道家や魔導士がいろんなスキルを使いまくってる時は
他の職にすれば良かったか!?とか思ったりもしたな。やり直す時間が勿体無くて諦めたけど。


「それに魔法戦士になればスキルが一気に増えるぞ。
 ・・・ほとんど使わないスキルも多いけどな」


魔法戦士は神官と魔導士の基本魔法も使えるし固有スキルも多い。
だが効果が微妙なスキルも多いし
魔道士と神官のスキルも基本スキルは効果が薄いのでほとんど使わない。



「・・・でもまだまだ先の話なんだもん」


拗ねた。
ちぇ~って言いながら足元の石を蹴ってるので間違いない。
そんなアイカをメリスは全く相手にしない。


「これでこのクエストもクリアですね。それではギルドに戻りましょう」


俺に近づき腕を組んできた。
忘れているかもしれないがメリスの胸はすごくあれなんだよ。
昼だろうと夜だろうと良い物は良いというのがよくわかるね。


「遠くで見てるだろう村長に証明書いてもらわないとな」

「そうですね、私達が倒した瞬間ガッツポーズしてましたよ」

「へえ、よくわかったな。それにしてもコボルトの攻撃を受け止めるとは思わなかったぞ」


腕を組んだまま村長のいるであろう方向へと歩きだす。
俺はどこにいるかわからないのでメリスに誘導されるままだ。


「エン様に買って貰った腕輪で防御力も上がっていましたし
 あのぐらいの攻撃なら大丈夫だとわかっていました」

「神官って以外と体力もあるんだよな。
 いや、神官がっていうよりメリスがって言った方がいいかな?」

「もうエン様ったら!
 それじゃ私がアイカみたいな体力馬鹿に聞こえるじゃないですか」

「おいおい、アイカが聞いたら怒るぞ」


和気藹々と、仲の良いカップルの様に俺達はその場を後にした。


「こらぁ!あたしを置いて行くな!!」











「お~い、クエスト終わったから清算してくれ」

「あ、三人ともお疲れ様です」


ギルドに戻って早速清算をする。
初日以来、俺の事をいぶかしげに見ていたレミィだったが
この二週間大人しくしていた事もありようやく自然な対応をしてくれる様になった。
それは他の冒険者にも言える事でこのギルドに普段からいる冒険者達が俺を見ても
特に反応することはもう無くなっていた。
初日のあれは偶々とかまぐれとかあるいは見間違いだったとか
勝手に自分で理由を作って納得したのだろう。


「はい・・・村長さんの証明もありますしクエストクリアです。
 こちらが報酬の五百ゴールドになります」

「ありがと。それじゃちょっと酒場の方でゆっくりしようよ」


アイカが言いながらさっさと酒場の方に向っていった。
メリスはそんなアイカに呆れながらも特に反対せずゆっくりと歩いていった。


「これでアイカさんとメリスさんはランクEクエストを十回クリアしましたので
 ランクアップ条件を満たしましたよ」

「お~そうなのか。まあまだレベルが17だから足りないけどな」

「お二人はまだギルド登録して一月ちょっとなのに中々早いペースです」


よくわからん書類を見ているレミィが言うには
普通の冒険者がランクEを卒業するには三月から四月はかかるそうだ。
大抵はクエスト回数を満たしてもレベルが足りなくて中々上がれないとの事。
もちろんそれは並の冒険者の話であって才能のある者や
ギルドに入る前から高レベルの者などはほんの数日でランクアップするらしい。


「エンさんは確かレベル20でしたよね。
 あれから時間も経ってますしもう21になってるんじゃないですか?」

「あはは・・・俺はほとんど参加してないから」

「参加してない?パーティを組んでるのにどうしてですか?」

「ん・・・まあ俺が強すぎるからかな?」


歯を輝かしながら冗談っぽく言う。もちろん満面の微笑みもセットだ。


「それは・・・」


レミィが困った様な顔をする。
しまった言い過ぎた!ここはまたまたご冗談を的な台詞で返して欲しかったのに。
なんだかんだで初日の事は忘れていないようだ。俺が言うとあまり冗談に聞こえなかったのか。


「な、なんてね。それじゃ俺も行くよ」

「あ、エンさん・・・」


何か言いたげに手を伸ばしたレミィを振り切りアイカ達の方へと行く事にした
これ以上話すとボロが出て言わなくていい事まで言ってしまいそうだ。


「おそ~いエン様。もう適当に注文しちゃったわよ」

「悪い悪い、でも霜降り鳥のから揚げは頼んでくれてるんだろうな?」

「はいもちろん。私達も好きですから」


二人と同じテーブルに座りちょっと落ち着いた。
霜降り鳥はその名前の通り霜降りの肉がとてもジューシーで大変美味である。
しかも日本の鳩並に大陸中に生息しているからお安い値段で大満足だ。


「いや~危うくレミィにいらん事を言いそうになっちゃったよ」

「エン様はすっかりレミィとも仲良くなったみたいですね」

「そうだよねえ・・・あ、良い事思いついた!」


ガタッっと椅子から乱暴に立ち上がるアイカ。
立ち上がった拍子に胸がぷるんと揺れ・・・てないな。


「エン様エン様。あたしギルドでレベル誤魔化す良い方法考えちゃった」

「え、なんか良い案でも浮かんだのか?」

「ふっふっふ、簡単よ。エン様がレミィを口説いてメロメロにしちゃえば
 レミィが適当に誤魔化してくれるわよ!」

「お、おいおい何馬鹿な事を大声で言ってんだよ。ってかレミィに聞こえてるぞ」


奥のカウンターの向こうにいるレミィが顔を真っ赤にしてあわわわとか言ってる。
慌てた拍子にカウンターの拍子をばら撒いてるな。


「ほら、レミィだって満更じゃないじゃん。レミィってあれで結構人気あるのよ。
 冒険者の人からいろんなお誘いとかしょっちゅうよ」


涙目で散らかった書類を拾い集めてるレミィは思わずぎゅっとしたくなる。
守ってあげたくなるような、あるいは苛めたくなるような可愛らしさを持っている。
このむさくるしいギルド内のオアシスの様だ。人気があっても当然だろう。
ん?・・・なんかテーブルがぷるぷるしてるような気が


「何を寝ぼけた事言ってるのアイカ!」


弾けるように立ち上がったメリスがテーブルを叩きつけた。


「え、だってそうでもしないとエン様がランクアップできないじゃん~」

「だからって態々レミィに手を出すなんて許可できません!
 エン様には私達・・・いえ私だけで十分です!」


どさくさに紛れてメリスが己の欲望を口にするがアイカはさらっと流した。


「も~メリスは独占欲が強すぎるわよ。
 エン様程の人があたし達だけで満足できるわけないじゃないの」

「アイカ!あなたはエン様が私達以外の女を抱いてもいいって言うのですか?」

「だからそう言ってるじゃん。
 あたしは一人で抱かれるより他の子と一緒に抱かれる方が好きだもん」

「な!?あなた昔から私の胸を揉んだり変な事してくると思ったらそっちの気が・・・」

「えへ~だって気持ちいいんだもん。女の子って柔らかくていいよね。良い匂いもするし。
 あ、でもエン様のキュッと締まった体ももちろん大好きだよ?」

「こ、ここまで本物だったとは・・・長い付き合いなのに知りませんでした」


・・・・・・え~っとそろそろ止めた方がいいかな。
回りのおっさん達がなんかギラついた目で見てきてるし。飢えてるのかね。
というか俺もこれ以上聞いてると変な気持ちになりそうだ。


「そこまでにしてくれ。周りの目が痛い」


アイカの知られざる性癖を知りどん引きしていたメリスが周りを見て慌てて座り込んだ。


「す、すいませんエン様。はしたない真似をしてしまいました」

「まあこの話は無かった事にしてと」

「ぶ~いいアイディアなのに」


レミィとそんな関係にってのが嫌な訳ではない。むしろどんどこいって感じだ。
でも俺が口説いてメロメロにってのがありえない。そもそも俺は女の人を口説いた事がない。
こいつらは昔の縁があって迫られたから受け入れるだけだったし。
基本的に俺は受身型(ギャルゲー主人公タイプ)なのだ。家でごろごろしながら
「あ~空から可愛い女の子降ってこねえかな~」って考えるタイプなのだ。
とりあえずいつの間にか運ばれていた料理を食べる事にしよう。
まずはやはり霜降り鳥のから揚げからだろう。
一口大の大きさの肉を噛んだ瞬間、口一杯に油の旨みが広がる。


「むぐ、むぐ・・・やっぱり美味いなこれは」

「んぐ、だよね。これだけは外せないよ」


ひょいパクひょいパクと箸を止めずに食べ続けているアイカ。
合間に酒も飲んでいる。この食欲は並じゃない。


「もう少し行儀良く食べなさい。見ているこっちが恥ずかしいわ」

「まあまあ。俺もそんなに行儀良く無いし美味い物を美味いと言って食べてるからいいじゃん」

「んぐ、んぐ・・・そうそう。食事は楽しくないとね!」

「もう・・・」


メリスは苦笑するがそれ以上は何も言わずお手本とばかりに行儀良く食事を始めた。
と、ここで入り口の扉が勢いよく開けられた。
周りの目は当然扉を開けた主に向けられる。いつもの事である。
だが今回はいつもと違い、いつまでも小さなざわめきが止まなかった。


「お、おい・・・あいつ「隼」じゃないか?」

「滅多に姿を見せない「隼」だ・・・珍しいな」


周りの冒険者達の話が耳に入る。扉を開けたのはどうやら有名人らしい。
俺はぼんやりと興味本位に扉の方へと目をやっていた。


先ず目についたのは黒曜石のように艶やかな腰まである長い黒髪だった。
袴の様にも見える和風な軽鎧を身に纏っている美女がそこには居た。
その切れ長の目はややつり上がっておりきつい印象を与えるが
それが余計に彼女の美しさを引き立たせていた。
正直俺は見惚れていた。彼女から目を離すという発想が思い浮かばないのだ。


「うわ~隼さんだ。あたし初めて見たけどすごい奇麗~」

「し、知ってるのかアイカ?」


俺は彼女から目を逸らさずそのまま聞いた。
なんとなくメリスが睨んでいるような気がした。


「そりゃあもちろん。隼さんはサウスリーン支部唯一のランクAの冒険者で
 「隼」の二つ名を持つ剣豪なのよ」

「け、剣豪か・・・」


上級職である「剣豪」 魔法戦士と同じく戦士からの派生上級職だ。
魔法戦士とは違い剣に特化していて最大攻撃力はそちらを遥に超える。
ただし、燃費が悪く、防御力も低いので扱いが難しく俺がやっていた時は人気が無かった。


「二つ名ってことは彼女の名前は「隼」じゃないのか」

「そうだよ。彼女の本当の名前はギルドの一部の人間しか知らないんだって」

「へぇ~そうなのか・・・って痛い痛い。メリス何するんだよ」


メリスが俺の手の甲をつねってきた。


「何をデレデレしているんですか。早く食事を終わらせますよ」


彼女の視線は恐ろしく俺は大人しく食事に取り掛かろうとした。
その刹那、「隼」と目が合った。


「えっ・・・」


彼女が小さくつぶやいた。周りの奴らは気づいていないようだが俺にははっきりと聞こえた。
つり上がっていた目をパチパチとさせている。そしてしばらく俺達は見詰め合ってしまう。

じーーーーーー

じーーーーーー


そんな俺に業を煮やしたメリスが更に強く抓ってきた。


「痛い痛い!わかったから!」


そこで彼女ははっと我に帰ったようだ。
赤い顔をして首を振りそのままギルドカウンターの方へと向かっていった。


「・・・まさか、な」


そんな彼女の小声もしっかりと耳に入る俺ってば高性能。
俺と見詰め合って含みのあるこのお言葉。非常に気になる訳で。
なんとなく、自分にとって都合の良い展開になりそうな気がしていた。











食事の後、俺達は宿に戻りくつろいでいた。
俺はベットに寝転がってある事を考えていた。


「どうしましたエン様。何か考え事ですか?」

「ああ、ちょっと思う所があってな」


ベットから体を起こすメリスの方へと向き直す。


「次はそろそろDランクのクエストを受けないか?」

「あ、それいいね。もうEランクのクエストじゃ物足りなくなってきたのよあたし」

「そうですね・・・私達もそれなりに強くなりましたしよさそうですね」


アイカは飛びつくように、メリスは考えながら冷静に賛同してくれる。


「それで俺も次から参加するからな」

「「え」」


二人が固まった。頭には恐らく初日の暴走が再生されているだろう。


「だ、だめだよ、エン様が仕事したらめちゃくちゃになっちゃうわよ!」

「そうです、ここは私達に任せてください。エン様は何もしなくても大丈夫です」

「だからそれが嫌なんだって。ず~っと見てるだけじゃつまらないんだよ」


折角この世界に来たのにやってるのは見学ばっかりでは楽しくないのだ。
それに二人に任せっきりなのはとても情けない。これではニートである。


「ですが、やはりエン様が強すぎてパーティのバランスが」

「ふっふっふ。俺もただ毎日ボーっと見学してただけじゃないんだぞ?ちゃんと対策も考えてある」


俺はこいつらと無理の無いようにパーティを組もうと密かに苦心していたのだ。
そしてこれならいけるという方法を先程やっと思いついた。


「え~本当に?どうやってあたし達とバランス取るのエン様?」

「よし、それなら今から実際にやってみようか」


ベットから立ち上がり部屋の中央に立つ。
二人が食い入るように見てくる。


息を整え精神を集中させる。
別にしなくてもいいのかもしれないがこっちの方がそれっぽいからいいのだ。
体からよくわからない力が溢れ出してくる。
もやもやした表現できない何かだがこれが魔力なのはこの世界に来てから理解していた。


「はっ!」


俺が魔法を発動させるイメージをするとその通りになってくれた。
体から魔力が放出されその衝撃でアイカ達が少しばかり吹っ飛んでしまった。
本当なら呪文が必要らしいのだが俺は都合よく呪文が無くても魔法が唱えられる。


「あいたたた・・・エン様今の魔法?」

「ああ・・・これで俺もお前達と戦える筈だ」


俺は自分の体を確認しながらそう言った。


「エン様・・・今の魔法はなんだったのでしょうか?」

「え~とスロウとマジックロスとパワーロスとディフェンスロスだ」

「あの一瞬で4つも発動したのですか!?流石はエン様です。
 ・・・どれも弱体魔法ですね、もしかして!」


納得がいったとばかりにメリスが俺を真っ直ぐに見てくる。
アイカは首を傾げたままだがまあしょうがないか。


「そういうこと。自分にかけて俺を弱体化させたの」


これが俺の考えた対策だ。
本来、敵にかける弱体化魔法を俺にかける事によって二人との力の差を減らす。


「で、ですがそれらの呪文はどれも基本魔法です。効果はそれほどでは・・・」

「まあ基本魔法だから複数同時にかけられたんだけどね。それも大丈夫。
 俺の魔力で発動するとかなりの効果だし、何より五回も重ねがけしたから」

「ご、五回もですか!」


俺は自分の能力を抑える為に弱体化魔法を重ねがけする事にした。
能力を魔法で抑えて封印ってなんか格好良くない?
某宇宙の帝王様見たく
「俺は封印を解く度にパワーがはるかに増す・・・
 その封印を俺は後五回も残している・・・その意味がわかるな?」
って強そうな敵にいつか言ってやりたいぜ。


「よくわかんないけど!
 要するにエン様があたし達とパーティを組めるぐらい弱くなったって事よね?」


アイカがそれだけを言って俺に飛び掛ってきた。
動きが鈍くなり力も弱まった俺は体のギャップで反応が遅れ、難なく押し倒される。

「わ、エン様をあっさり押し倒せちゃった」

「あいたた、何するんだよアイカ」

「むふ。エン様が本当に弱くなったのか確認しなきゃね・・・」

「アイカ、エン様に失礼ですよ!」


怒ったメリスがアイカと俺に近づいてくる。
いいぞ、早くアイカを振りほどいてくれ!


「あたし達いっつも最後はエン様にリードされてめちゃくちゃにされちゃうじゃん。
 偶にはあたし達がエン様をリードしてめちゃくちゃにしたいなぁ」

「なるほど!」


メリスがでかい声で頷くと大急ぎで服を脱ぎ始めた。


「ってメリス何がなるほどなんだよ!」

「私達がエン様をリードしますから!エン様は身を委ねるだけでいいのです!」


ハァハァ言って目から正気が完全に消えてしまった。何かのスイッチが入ったのか。


「っておい!これじゃ駄目だ!前回と同じオチじゃねえか」

「何言ってるかわかんな~い」

「エン様は私がおいしくいただきます!」



血走った目で俺を見る二人を見て俺は恐怖で力を抜いてしまった。
その夜、俺は宣言通り二人にめちゃくちゃにされてしまった。女の子って怖い。





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