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ヴァルキュリア! 第3話

アイカ達に用意して貰った「麻の服」は防御力が皆無で
見た目にもそこら辺にいる村人Aにしか見えない。だが俺は全く文句が無かった。
というか用意してもらっておいて文句言うなんて理不尽だろ?
それに上半身に衣服を着るってのは想像以上に安心感を得る事が出来た。
現代人である俺が外でずっと半裸ってのは結構なストレスだったのだ。



「ギルドってどこら辺にあるんだ?」

「このまま五分程歩いた所にありますよエン様」


俺達は早速ギルドに向かっていた。
あまりのんびりしているとナイアガラブタの肉の鮮度が落ちて報酬が少なくなるらしい。
中世のような雰囲気の街は人々の活気で満ちている。
空気も現代の様に澱んでいないし、実に清々しい気分だ。
露店商の景気のいい呼びかけ 街の奥様方の噂話 冒険者風の男達の騒ぎ声
この世界を楽しもうと割り切った俺にとって全てが新鮮で心躍るようだった。
ゲームでならこの街にも来た事はあったが実際にこの場に立ってみるとまるで印象が違う。
どこになんの施設があるかなど全くわからないので俺は二人に案内してもらっていた。


「むふふ、エン様ったらキョロキョロしてどうしたの?」

「え・・・ああ昔とは随分変わったなって思ってな」

「モンスターに占領された時から十五年経ちましたからね・・・
 今では占領されていた名残はすっかりありませんので驚かれるのも無理はないです」


確かに解放したての時と比べて町並みはちゃんと整備されてるように見える。
もっとゴミゴミしてたもんな。
頭の中でゲームの風景を思い返していると不意に頭を引っ張られる様な感覚がする。


「こらアイカ。髪の毛を引っ張るなよ」

「ごめんなさ~い。でもエン様のしっぽってなんか触りたくなるのよね」


謝ってはいるがアイカの手は変わらず俺の髪の毛を引っ張っている。
雑草の様に伸び放題だった長髪は奇麗に纏めて後ろで縛ってある。
一応現人神の特徴を誤魔化す為のちょっとした変装だ。
尻尾みたいになってるのでついつい引っ張りたくなるのかな?
不衛生なオタクがやるとおぞましいが純白の髪を持つ俺なら恐らく許されるだろう。
顔は本来の俺と変わってないのでお世辞にも整ってるとは言えないが
この引き締まった体のおかげでなんとか雰囲気イケメンぐらいの容姿にはなっていると思う。思いたい。


「止めなさいアイカ。エン様に失礼ですよ」

「はいはい~でもメリスだって本当は触りたい癖に我慢してるんでしょ」

「馬鹿言わないで。私はエン様に触れられるならどこだっていいです」


そう言ってすすっと近寄ってくるメリス。
三人でじゃれ合ってると、どうにも視線を感じてしまうので自重して欲しい。
そのまま俺の匂いを嗅いで悦に入ったような表情をしていたメリスだが急に我に帰る。


「そうでしたエン様、ギルドに行く前に武器屋に行かないといけないんでした」

「武器屋?なんか欲しい武器でもあるのか?でもそれなら別にギルドに行った後でもいいんじゃ」

「確かにアイカの武器が消耗してますので修理に出さないといけませんが
 それよりもエン様の武器を購入しないといけないんです」

「俺の武器?」


なんでまた俺に武器をと思う。
だがアイカはそれを聞いてポンっと手を打った。


「そうだった。確かにエン様に武器がないと不味いわね」

「エン様はギルドに行ってギルド員として登録するんですよね?」

「ああ、そのつもりだが」


一、ギルド員としてクエストをこなして収入を得るという
典型的な冒険者になってみようと思っているので当然だ。
ゲームでもギルドに入った事が無いので実はすごく楽しみなのである。
現人神になる前もレベル上げ最優先でやってたからギルドに入ってなかったんだよなあ。


「ですが今のエン様が登録に行っても許可はおりない可能性が高いです」

「え、そうなの?これでも実力には自信があるんだけど」

「もちろんあたし達はわかってるけど、エン様の格好じゃ説得力ないでしょ」


言われて見返す自分の身。成る程、ただの村人Aがギルドに登録しますって言っても駄目だな。


「せめて武器ぐらいは所持しておかないと冷やかしだと思われてしまいますので」

「あたし達が冒険者として推薦するけどレベル13のあたし達の推薦だけじゃ弱いのよ」

「了解。確かにこの格好じゃ武器ぐらい持ってないと格好つかないな」

「武器屋はすぐそこにありますので行きましょう。
 あまり予算はないので恐らく最下級ランクの武器しか買えないと思いますが・・・」

「何から何まで奢ってもらって悪い・・・なんか俺ヒモみたいだな」

「だったらヒモらしく、あっちの方で頑張ってねエン様ぁ」

「・・・街中で喋る内容じゃないぞアイカ」








ウエスタン映画に出てくるような開き戸を開ける。
一瞬中にいた皆がこちらを見るがすぐに興味を失ったように目を戻す。
ここがギルド株式会社サウスリーン支部らしいが・・・


「まるで酒場だな」


どう見ても酒場にしか見えない。
各テーブルに座って飲んでいる者は皆冒険者の装いだが俺の想像していたギルドとは違う。


「酒場も併設してるんです。冒険者同士の情報収集の場にもなりますんで。
 奥の方にギルドの受付があるんでまずはそちらへ行きましょう」

「え~ちょっとお酒飲もうよ。せっかくだからエン様の飲みっぷりが見たいなあたし」


アイカが空いてる椅子に座り込んで駄々をこねる。ちなみ俺は酒がほとんど飲めない。


「駄目よ。まずクエストの清算をしないともうお金も無いんだから」

「ぶ~ぶ~メリスのけち」


テーブルを抜けて奥へと行く。
カウンター越しにいる事務員の様な女性がいる。
紫のポニーテールに小さな丸メガネとは・・・中々心得ておるな。


「やあ、俺も尻尾ヘアーなんだ。奇遇だね。」

「は、はぁ・・・」


アイカに引っ叩かれた。自分でも想像できないセリフだったぜ。
何事も無かったかの様にメリスが事務員さんに話しかける。


「すみません今のは忘れて下さい。クエストの清算をお願いします」

「え・・・は、はい清算ですね。それではまずクエストの受付書を・・・」

「ねえエン様ってポニテ萌えなの?それならあたしもポニテにするけど」

「え、マジ!?・・・それならお願いしちゃ」

「そこの二人!静かにして下さい!」

「「はいっ!」」


怒られた。何故か事務員さんも怒られた様に怯えていた。
メリスは俺達を強烈な眼力で一瞬睨むつけた後、すぐに表情を戻した。
・・・メリスを怒らせるのはなるべく止めておこう。というか何でそんなに怒ったんだ。


「そ、それではこれが、報酬の三百ゴールドになります」

「はい・・・確かに」

「なぁ三百ゴールドってどれぐらいなの?」

「エン様は・・・って今更か。
 あたしらのとった宿が一泊一人三十ゴールドだから大体三日分の生活費になるわね」

「そんなもんなのか。命がけの仕事なんだからもっとくれるのかと思ったけど」

「あたし達の受けたクエストはナイアガラブタの肉収集っていう
 難度Eのすごい簡単なクエストだからしょうがないわよ。
 難度BとかAのクエストなら一回で何万ゴールドって行くらしいけど
 ギルドランクEのあたし達じゃまだまだ先の話だもん」

「ギルドランクかぁ。それが高くないとランクの高いクエストは受けられないってことか・・・」


ゲーム慣れしている俺はギルドランクなる制度をすぐに理解した。
簡単で低報酬の仕事をこなしていけば徐々にランクが上がって
難しい高報酬のクエストを受けれるようになるんだろう。


「それと新たにギルド登録をする方の推薦をします。エン様、こちらに来てください」

「あ、はいはい」


メリスに言われると俺は駆け足で向かう。
別にメリスが怖かったわけじゃないぞ?・・・多分。


「新たに登録される方ですね。記録をとりますので質問に答えてくださいね。 
 まずお名前とジョブを教えてください」

「はい、名前はエン・ヤナギ。ジョブは魔法戦士です」

「え!ま、魔法戦士ですか!」


事務員の子が大きな声を出して立ち上がる。
そして酒場の方にいた冒険者達も一斉に俺の方を見てきた。
なんだ、何かまずい事でもいったのだろうか?隣に控えているメリスに小声で話しかける。


「なあ、なんだこの反応。何か俺やっちゃったのか?」

「いえ、ただ上級職に就いている人は今では非常に少ないので驚いているんだと思います」

「げ、そうなのか?」

「はい、英雄大昇天で上級職に就いていられた方は皆いなくなってしまい
 それ以後、上級職に就ける程の人はほとんどいません。
 現在では上級職のギルド登録員は大陸中に五十名足らず、
 このサウスリーン支部に至ってはただ一人しかいません」

「マジかよ・・・っていうかメリスいろいろ知ってるな」

「いえ、これぐらいは・・・」


むう・・・十五年でそんなにレベル低下していたのか。
俺がゲームでやっていた頃は上級職なんて一山いくらのレベルでいたんだが。
目立ちたくない俺からすればそれは非常に具合が悪い。従って


「すいません、見栄張っちゃいました。本当はただの戦士です」


嘘をつく。まあ魔法戦士ってのも嘘なんだけど。


「え・・・そ、そうですよね。こう言っては失礼ですが
 とても上級職に就いている方には見えませんもんね」


すんなり納得されるのもそれはそれで傷つくな。
アイカが何か言いたそうにしたがメリスが口を塞ぐ。良くやった。


「使用武器は・・・そちらのハンドアックスでよろしいですね」

「はい」


武器屋に行って俺が選んだのはこのハンドアックスだった。
剣でも良かったのだが剣はアイカがショートソードを装備してるので
同じ剣というのもなんとなく芸が無いだろうと思って俺は斧にした。
スピード型のショートソードとパワー型のハンドアックスで装備のバランスはいいだろう。
これに杖装備で支援型のメリスが加わればほぼ完璧である。
このハンドアックスはワゴンに山積みになっていた安物だが強度はそれなりあるようだ。
ただし切れ味はほぼ皆無だろう。刃先潰れてるし。だから安かったんだろうな。


「レベルはおいくつですか?30以上の方には登録時に優遇させてもらっています。
 もちろんレベル測定はさせてもらいますが」

「あ~20にしといてください」


優遇ってのがなんなのか気になるが俺は目立たないよう、低いレベルを申告した。
レベル測定なんてされて俺のレベルがばれると面倒になるのは目に見える。
俺の言い方に疑問を覚えたようだがさっとスルーしてくれた。
ちなみに疑問に思った時の人差し指を口元に当てる仕草が個人的にツボだった。


「はい・・・・・・それではエン・ヤナギさんをランクEギルド員として登録します
 ギルドに関する詳しい説明は必要でしょうか?」

「あ~いいや。わからない事があったらこいつらに聞くし」

「はい、何でも聞いて下さいエン様」

「メリスばっかりずるい~!あたしにも色々聞いてよエン様」

「そうですか・・・残念です」


ちょっと、いやかなりがっかりしている事務員さん。
そんなに説明がしたいのか。しょんぼりとうつむく彼女をそのままにする気になれなかった。


「や、やっぱり説明してほしいかな」

「え、本当ですか!そ、それでは説明させてもらいます。
 まずギルドの創設の経緯から説明させてもらいますね。
 このギルド株式会社は今から十七年前、初代ギルドマスターであられる社長様が・・・」

「え、えっと悪いけどそこら辺は知ってるからいいや。
 ギルドランクについてに説明でもお願いするよ」


話が長くなってしまいそうなので適当に誤魔化して自分の聞きたい事だけをお願いする。
どうやら相当な説明好きらしい。話を遮られてやや不満そうだがすぐに表情を切り替える。



「そ、そうですか・・・それではギルドランクについて説明させてもらいます。
 まず最初にギルドに入られた方は全員ランクEからのスタートになります。
 エンさんも当然ランクEからになります。基本的にギルドで受けられるクエストは
 自分のランクと同じランクのクエストしか受けることができません」

「基本的にってことはなんか例外があるの?」

「はい、一つはパーティを組む事です。同ランクのメンバーが三人以上いると
 一つ上のランクのクエストを受ける事ができます。
 エンさんと後ろにいるお二人はランクEですので三人でパーティを組むと
 ランクDまでのクエストを受ける事ができます」

「他にはあるの?」

「他にはギルドからの推薦があります。これはランクが足りないながらもクエストとの相性が良い、
 低ランクながらも実力が十分とギルドが判断した時の為の制度です
 ただしどのクエストでも受けられるという訳ではなくギルドが指定したクエストのみになります。
 ですが推薦されたクエストなら例えランクAでも受ける事ができます」

「なるほど、自分のランクを二つ以上超えるクエストはギルドが指定したのしか受けれないのか」

「推薦されればの話ですがそうなります。次にランクアップについてです。
 ランクアップに必要な条件はまず同ランクのクエストを十回以上クリアしている事。
 ただし、先程言いました方法で上のランクのクエストをクリアした場合も一回に含まれます。
 そしてレベルが規定以上である事です」

「え、レベル制限もあるの?」

「低レベルの人が高ランクになってしまうと危険ですので制限がつきます。
 Dランクになるにはレベル21以上 Cランクになるにはレベル31以上
 Bランクは41以上 Aランクになるには上級職に就いている事が条件になります」

「レベル制限があるって事は当然・・・」


「はい、測定させてもらいます。
 といってもこちらの「見識の台座」に手を置いて頂くだけですのでご安心下さい」



怒涛の勢いで説明をする事務員さんだが中々わかりやすいのでまだ許せる。
しかしランクアップにレベル測定があるのは困る。
俺のレベルを教えるとパニックになるだろう。といっても俺も自分がいくつかわからんのだが。
レベル100になって現人神になり、全能力超上昇という特殊能力がついたおかげで
同レベルの他職をはるかに上回る力が入った為レベルを全く気にしなくなったからだ。
100の時点でもレベル限界では無かったから恐らく今はもっとレベルが上がっているだろう。
何せ現人神になってからはそれまでの数十、数百倍の経験値を持っているであろう
凶悪なモンスター達を大量に倒していたからな。
だけど、なんかしらの方法でレベルを誤魔化さないとランクアップはできそうにないな・・・


「例えばランクAの奴がランクAのクエストを受けて
 ランクEの奴2人と一緒にクエストをクリアしたらどうなるの?」

「クエストを手伝うのは自由ですがその場合ランクEの人は
 クエストを受けていない扱いになります。
 ですので例えクリアしてもランクアップ条件のクエストクリア回数には追加されません」

「じゃあ逆にランクEの奴がランクEのクエストを受けて
 ランクAの奴と一緒にクリアした場合は?」

「ランクEの人がクエストを受けたのならクエストクリア回数に含まれます。
 ポイントはクエストをクリアするという所ですので
 その為に助っ人を頼んだとしても問題ありません。
 その方法でクエストをクリアしてもレベルが足りなければランクアップはできませんから」


しかしこの人、さっきから一人でものすごい喋ってるな。
これが生きがいですと言わんばかりに眼も輝いているしすごく楽しそうである。
後ろの二人は既に話など聞いちゃいない。
自分達にわからない事は聞くと言っておきながら
俺がわざわざ事務員さんに説明を聞いているのを怒っているのか?
それとも単に知っている話で興味がないからか?


「と、とりあえず今回はこれぐらいでいいよ。また今度お願いね」

「残念です・・・まだまだ言いたい事は山の様にあるのですが・・・」


ほっておくといつまでも喋り続けそうなので無理やり話を打ち切る。
とりあえず知りたかったランクアップの話は聞けたので十分だ。
会話が途切れたのをアイカ達が気づいて近寄ってきた。


「話は終わったの?レミィは説明長いんだから迂闊に質問しちゃ駄目よエン様」

「ご、ごめんなさい。ですけどそれが私の仕事ですんで」

「私達の時は延々と三時間も説明しましたよね。ランクアップの話だけで」

「うっ!それはその・・・」


事務員さんの名前はレミィさんと言うのか。しかしランクアップの説明だけで三時間とは。
俺に言ったのでもかなり短い部類だったのか。
どうやったらそんなに時間をかけて説明できるのだろうか。さっきの話で十分過ぎるんだが。


「アイカ達はこの人と知り合いなのか?」

「知り合いっていうかギルドでクエスト受けてたら嫌でも顔見知りになるわ」

「そんな・・・嫌でもだなんてひどいです」

「私達に嬉々として長時間説明する方がひどいですよ」

「みゅう・・・」


みゅうて。これまた露骨な萌え要素だな。
だがそれがいい。
それにしても最初はお役所的な対応してると思ったら二人とかなり打ち解けてるんだな。


「仲いいんだな」

「う~ん、あたしらと年が近い人ってギルドにはあまりいないし一応友達って感じかな」

「一応ですか・・・」

「拗ねないのレミィ。それよりクエストを受けたいからリストを出して」


メリスは涙目のレミィに仕事をするように促す。
なるほど・・・なんとなくこの三人の関係がわかったような気がする。


「は、はい。ランクEの方が三人いますので
 ランクDまでのクエストを受ける事ができますがどのランクのクエストを受けますか?」 

「エン様どうしましょうか?」

「二人はまだランクEのクエストしか受けた事ないんだよな?」

「ええ、二人で組んでたから上のランクのクエストは受けれなかったの。
 まあ受けれたとしてもあたし達のレベルじゃまだクリアできないだろうけど」

「そうか・・・それじゃ俺も最初だしランクEのクエストにするか」



上のランクのクエストを受けても俺は大丈夫だろうが
アイカとメリスにはまだきついかもしれない。
当面はランクEの仕事を受けながら二人のレベルを上げようかと思う。


「それではこちらがランクEのクエストリストになります。
 期限付きのクエストもありますが好きなのを選んでいただいて構いません」


レミィがカウンターの上にクエストの書類をどさっと置いた。
数十枚はあるだろうというそれを一枚一枚見比べていく。
アミノキノコの収集・・・キノコ採りに行くだけってのは面白くないからパス
ペット用モニョの捕獲・・・アイカ達の修行にならないからパス
ナイアガラブタの肉収集・・・さっきまで二人が受けてたクエストだからパス
中々決まらず迷っている様子の俺達にレミィが話しかけてくる。


「特にやりたいクエストが無いのでしたらこちらのクエストをお勧めします。
 この街から北にあるトリデ洞窟に生息するジャイアントバットの羽収集です
 距離的にも往復で二日あれば十分ですしモンスターのレベルも15と
 三人のレベルなら十分に倒せる丁度良いクエストだと思います」


並べてある書類から一枚を選んで説明してくれるレミィ。
そしてそのクエストは俺達の求める条件にぴったりだった。


「おお、そりゃ良い。良いクエスト教えてくれてありがとうな」

「レミィは仕事に関してはしっかりしてくれますので」




「そ、そんな!私なんかまだまだ勉強中の身で・・・」


彼女は謙遜しているが俺はメリスの意見に同意。
どうやら見た目とは違い中々優秀なようだ。

「それではそのクエストにしましょう。報酬はいくらですか?」

「ジャイアントバットの羽一枚につき20ゴールドで買取ます
 こちらの品は商人からの買取希望が常にあるので買取制限はありません」

「それじゃ集めたら集めただけ報酬を貰えるってことか」

「はい、ですがランクEの冒険者の方でしたら一人二十枚も集める事が出来れば上出来です。
 名前の通りジャイアントバットの羽は結構大きいのでEランクのレベルの冒険者では
 平均してそれぐらいしか持ち運べないでしょうから」

「了解っと。クエスト受付書貰って・・・それじゃ早速行くか」


意気揚々とギルドを後にしようとする俺をアイカとメリスが慌てて呼び止める。


「え、エン様!まずは道具屋に行って回復剤やキャンプ用具を揃えないといけません」

「そうそう。往復で二日はかかるってクエストなんだからしっかりと準備しないと危ないのよ」


二人の言う事は尤もだ。ただしそれが普通の冒険者だったらだけど。
ここに来てからずっと質問ばかりしてた為か
彼女達はどうも俺が現人神だってのを忘れているようだ。
俺は二人を両脇に抱え込む。うむ、人間二人を持っても楽勝だぜ。


「いいからいいから。それじゃ速攻で行くぞ!」


ちょっと抵抗する二人を無視して、俺は現人神の能力をフル活用して全力で走りだした。
酒場にいた何人かを吹き飛ばした気もするが速過ぎて向こうも何がなんだかわからんだろう。


「・・・あら、エンさん達はどこに行ったんでしょうか?
 もっと説明しなければいけない事が沢山ありましたのに・・・」



レミィは音速にも匹敵するような速さで走っていったエンに気づく事が出来なかった。












それから五時間後。すっかり夜も暮れてしまっている。
俺は宿屋の一室の床に正座してアイカとメリスに説教を受けていた。


「折角あたし達が目立ちたくないってエン様の意を組んで普通にクエストを受けようと思ってたのに」

「はい、反省しています」

「本当にわかっていますか?通常往復に二日かかるクエストを四時間でクリアしてしまったんですよ?」

「はい、調子に乗ってました。ごめんなさい」


自分で目立ちたくないと言っておきながら思いっきり派手な行動をしてしまいました。


「それにレミィがランクEの冒険者じゃ二十枚ぐらいしか集める事が出来ないって言ってたでしょ!
 なんで三百枚も集めちゃうのよ!もうトリデ洞窟のジャイアントバット絶滅しちゃったじゃん!」


調子に乗って狩り過ぎちゃいました。今じゃすっかりトリデ洞窟は平和そのものです。
だって想像以上に弱かったんだもん、ジャイアントバット。


「大の男が五十人は入りそうな巨大な風呂敷包みを背負ってギルドに入った時に
 他の冒険者達からどんな目で見られていたと思っているんですか?」



二人の言葉の一つ一つが俺に突き刺さる。もう全て仰るとおりです。
別に彼女達は俺が現人神だって忘れてたわけじゃありませんでした。
俺の意思を尊重して目立たないようにしようとしてくれてたんですね。
それを俺が自らぶち壊しちゃったと・・・


「エン様には罰が必要ですね・・・」


メリスが立ち上がり神官服に手をかける。なんか息が荒くなっており興奮している様だ。
アイカはいつの間にか下着姿になっていた。
そのまま腰に手を当てて俺を指差した。


「今日は朝まであたし達の相手をしてもらうからね!」


その言葉を合図に体に残った衣類を脱ぎだす二人。
これは罰になるんだろうか?むしろ逆のような気が・・・
俺の考えはもう全裸になっていた二人に押し倒された事によって中断してしまった。








「みゅう・・・いつまで経っても終わらないです・・・」


レミィは深夜になっても一人、エンの持ってきた大量の羽の処理に追われていた。
既に酒場も閉めているのでひとりぽっちである。目にはうっすらと涙まで浮かべている。


「それにしてもどうしてアイカさんとメリスさんはエンさんの事をエン様と呼んでいたんでしょうか。
 ・・・・・・も、もしかしてエンさんは二人のご主人様!?アイカさん達は奴隷!?
 毎晩三人で肉欲の宴!?ど、どうしましょう!このままでは私も手篭めにされちゃうんじゃ!?」


真っ赤な顔をしてイヤンイヤンと悶えている様子を見る限りまだまだ大丈夫そうである。
しかも彼女の妄想は大体当たっていたりするのであった。







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theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

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うわー!すっごいおもしろいです!更新頑張ってください!

ご都合主義バロスwwww俺こーゆーの大好きwwwwwww

No title

もう更新はしないのだろうか
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